一本杉の魔女
街道を歩いていると 目の前に黒猫が街道沿いの木から降りてきた
「主様 この先で老婆が襲われています」
「キャッ 猫が喋った」妖精が驚くが そう言えば 未だ妖精の名前を聞いてなかったなと思いながら 黒猫に先導させて現場に急ぐ
街道の先の方で何人かが揉めている 近づくと老婆を囲んで四人の男が暴力をふるっている
誰が悪いとか分からないが 年寄を若い男が暴力は駄目だろう 取り合えず三人を当身で意識を刈り取り 残った一人に事情を聞くが
「関係ない奴は引っ込んでろ」俺に殴りかかりながらら叫ぶ
悪いのは男達だな 確信して男を殴りとばす
「大丈夫ですか? お婆さん」
巫女様がシロから降りて 背中を摩りながら尋ねる 老婆は巫女様を見て
「おお 巫女様!!」声を上げて巫女様を見て 続いてユカリ 俺を見る
「どうして あんな目に?」男達を木の根元に集めながら俺が聞くと
「面倒臭い話なのですが・・・ ここではなんですので 宜しければ私のあばら家にでもおこしになりませんか? ちゃんとお礼もしたいですし 」
「そんな お礼なんて とんでもないですよ 困っているみたいだから 助けただけだし」
「いえ お話したい事もありますので どうか お願いします」
「話ですか? 分かりました お邪魔いたします」巫女様が言って俺等を見る
「婆のあばら家は あの大きい一本杉の下にあります ご足労ですが どうぞおいで下さい」
街道沿いの森に入り一本杉を目指しお婆さんの後ろを付いていく
家はいかにも人里離れた魔女の住処みたいな感じだった 石造りの小さい小屋に煙突
周りは薬草畑で いろいろな薬草と思われるものが軒先に干してある
お婆さんに言われ中に入ると 竈には大きな瓶が置かれ 棚にはガラス瓶に入った液体や 漬け込まれている草が並んでいる
部屋が狭いので夫婦二人は外で待機している 老婆から良い香りのお茶を外の二人も含めて御馳走してもらう
「良い香りのお茶ですね ところでお婆さんは何故襲われていたのですか?」巫女様が一口飲んで尋ねる
「長くなりますが 先ずは私の自己紹介からさせていたきます 私はカルと言う名前で 前の使徒様の旅の同行者 大魔導士のユカ様に無理言って弟子にさせていただいた者です 使徒のゲン様 当時の巫女様 ユカ様にくっついて旅をしておりました
その時ユカ様から教えを乞い 様々な魔法を自分でも開発し その当時 老化を遅らせる魔法を開発し 使徒様達が「世界を破滅させる者」を封印された後 今までここで魔法の研究をしておりました 巫女様からのお話で「世界を破滅させる者」」の封印の後に「世界を消滅させる者」というのが現れて その者と共に使徒様と大魔法使い様は禁忌の岩戸に消えたとの事です
そして 先程の原因なのですが「世界を消滅させる者」の復活を願う者の集団で 禁忌の岩戸を開けるために相応の魔力が必要らしく 私を攫って岩戸を開けさせようと企んだ連中です」
「なるほど そいつらは「篝火」とは違うんですか? それに ここは安全なのですか?」俺が聞くと
「「篝火」は破壊された後の世界で覇権を摂ろうとする奴らですから 関係は無いと思います 自分も消滅したら話しになりませんから それにここは 結界で私が許した者しか入れませんので大丈夫です」
「「世界を消滅させる者」か 破壊ならまた一からやり直せるが 消滅ならこの世界自体が無くなるから どうにも出来ないな」巫女様を見ながら呟くと
「私も初めて聞きましたが 先に禁忌の岩戸をどうにかしないといけませんね」
俺と巫女様は見つめ合って 頷く
「魔導士のお嬢ちゃん こっちへおいで」
カル婆さんがユカリを呼び 「私の知識の全てを授けよう」ユカリの手を取り目を瞑る
「はい」ユカリも目を閉じ 膨大な知識が流れ込んでくるのをその身に受けていた
「お話し ありがとうございました」そう言って辞去する事にした
「こちらこそ 助けて頂きありがとうございました 無事旅が終わる事を祈っています」
外で待っていた夫婦と合流し 森を抜けて街道に戻る
「キヨミ 禁忌の岩戸とそれを開けようとしている連中の事を探ってくれ」
俺が言うと ユカリの足元を歩いていた黒猫が「分かりました」言葉を残し消えた
歩き続けて夕刻に夫婦の目的地である街に着いた
夫婦に別れを告げると 俺達が宿屋に入るまで彼らは頭を下げていた
風呂に入って 夕飯を食い終わった頃キヨミが帰って来た
キヨミの為にスイカのジュースを作り 巫女様やユカリ 妖精にも振る舞う
「「「ああ 美味しいです」」」
「セイ様の魔力も美味しいけど これも美味しいわね」キヨミ 巫女様 ユカリ 精霊の感想
次の更新予定
魔導少女の憂鬱 @cow4
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔導少女の憂鬱の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます