世界樹
「私達が住んでいる場所に「世界樹」があるんだけど 最近弱って来てね 樹自体もだけど 覆ってる結界も弱ってるの 是非あなたの力で修復してくれないかしら」
精霊は言うが 巫女様を見やると難しい顔をしながらも頷いている
「なあ 出来るって確証は無いぞ それでもいいのか?」俺が聞くと
「あなたの綺麗な魔力なら世界樹も復活してくれるわ」精霊はキッパリと断言した
それならという事で精霊に付いていくと 森に入った一瞬で見た事も無いような整然とした森に着いた 木々の中央に一際大きい樹があり その周りを妖精や黒い靄が飛び回っている
「妖精の力で招待者はここまで 一瞬よ そして あの大きい神聖な樹が世界樹よ」自慢げに仰る妖精さん
「妖精と一緒に飛び回ってる あの黒いのは何だ?」樹を見ながら聞くと
「あの黒いのも見えるの? 流石ね あれが樹を弱らせてるの」
先ずは結界を見てみようか 結界発生装置を見てみると 高校生が学ぶ初歩のプログラムみたいだ 作成者は大神玄武?親父なのか?考えてると
「それは 初代の使徒様が設置されたものですが 最近 結界自体が弱まっているのです」
じっくりと観察すると魔法と科学(プログラム)のハイブリッドで作られている
取り合えず魔力が枯渇しそうなので魔力を注入すると 結界が煌めき俺でも分かるほど強くなった これで外からの侵入は大丈夫だろう 後は永続させるためにプログラムを少し弄って 外部かのら魔力の循環を直してやればいいだろう 親父って器用だったんだな
結界は大丈夫になったし 次は世界樹の再生かな
まあ 誰がどう見てもあの黒いのが何かしているんだろうが
夫婦はここに残し 俺 ユカリ 巫女様 ヤヨイの四人で世界樹に向かう
黒い靄はありとあらゆる場所に張り付き魔力を吸っているし 飛んでいる奴は隙あらば自分が摂りつこうと周りを飛び回っていた
「浮遊」で空中に行き 飛び回ってるのを落としてへばり付いているのも切り落としていく
落ちた黒い靄はユカリが止めを刺し 霧状になったのを巫女様とヤヨイが光りの粒子に変えて消していく
二時間程で纏わりついていたり 飛び回ったりしていた黒い霞を取り除いた
俺は世界樹に抱き着き魔力をゆっくりと徐々に流し込んでいく 暫くすると 葉が茂り 下を向いていた枝も上に向き 神々しい煌めきを放ち始めた
「「「すごーい!!!」」」いつの間にか集まっていた妖精達が歓声を上げる
「ありがとうございます 私はこの国を治める女王でごいます なんとお礼を言えばいいのか それすらもわかりません」頭を下げ あまりにも恐縮しているので
「気にすることはありあせんよ それよりも大神玄武について教えてくださいませんか?」
「玄武様は数百年前に 旅の途中にやって来られて 黒い霞達に襲われていたここを救って下さり 一緒に来た仲間たちと結界も張って頂いたのです」
そうか 先代の使徒は親父だったのか?仲間?
「仲間というのは どんな人達だったんですか?」
「大魔導士おユカ様と当時の巫女様 後はこの地の勇者様などです 今宵は是非歓待の宴をやらせて下い」
様々な木の実の料理や山菜の料理に妖精種(ミード)ですっかりいい気分になり 気付いたらユカリの膝枕で寝ていた 目を開けると優しい微笑みをたたえたユカリと目が合った
「すまない お前も疲れてるだろうに 世話をかけた」
照れ臭くなって言いながら体を起こす
「いいのですよ 主様 これが私の喜びでっすから」
そう言うが悪いので逆にユカリを膝枕し手を握って魔力を回復させる
「ああ・・・」そう言ってユカリは目をつぶり寝息をたて始めた
首筋が変な感じがするので見てみると 昼間助けた妖精が俺の首筋がら魔力を吸っている 「やっぱり あなたの魔力は最高においしいわ」酔っているのかでかい声で言い出す それに気付いた他の妖精達も集まって来て俺の魔力を吸い始める
「「「本当に美味しいわ!!」」」キャッキャッと騒ぎ始めると 女王までやってきて吸い始める
おれの魔力は底なしだから 別にいいけど みんな 酔い過ぎじゃない
ユカリを膝枕しながら 妖精たちに群がれる俺 シュールな繪面だろううな
巫女様もヤヨイも夫婦ももう寝ている
翌朝 再度結界を確認し 妖精の里を後にする
今回も一瞬で元いた森の入り口に移動したが 何故か昨日も案内してくれた妖精が俺の懐に入って出て行こうとしない
「羽虫はいつまでくっついて来るのですか」ユカリが不機嫌に聞くと
「何かあった時の為に 同行するように女王に言われたのよ」
「同行するのはいいですが 主様から離れなさい」
「だって ここが一番気持ちいいんだもん」
ユカリと妖精の言い合いを聞きながらも旅は続く
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