第13話温泉
何日か歩いて関所?みたいな所に着いた 巫女様の連れという事で俺とユカリは
すんなりと通れた 一平太は領主の証明書を出し何事も無く通過する
街の中は硫黄の匂いが立ち込めている 温泉か?温泉があるのか?
俺がニコニコしているとユカリが「何かありましたか?」と聞いてきた
「ユカリ この匂いは硫黄だ 温泉があるって事だ」
「温泉とは何ですか?」ユカリが不思議そうに聞いてくる
「うーん なんていうか気持ちの良いものだ」俺が言うと
「私には 主様から魔力を渡してもらってる時が至福ですが それよりも良いのですか?」うーん 確かに魔力を渡している時は 俺も身体的に気持ちが良いが
「温泉とは暖かいお水の事ですよ 気持ちがゆっくりして とてもいいものですよ」巫女様が助け船を出してくれる
こっちに来てからはタオルで拭いたり 川や湖で水浴びだったから 風呂に!温泉に!入りたい
追いついて来た一平太に温泉の事を聞くと この地は温泉が有名らしい
早速 宿を取り宿の人に温泉の場所を聞くと この宿にもあると言う
着替えを持って そそくさと温泉に向かう
一平太と男湯に入り 二人で「「ふ~」」と息を吐く
隣の女湯からはユカリと巫女様がキャッキャッと言いながら入ってるみたいだ
一平太は女性陣二人の話の内容が気になるようで 俺との話も上の空だ
実の兄を斬った後だけに一平太にも癒しが必要だろう 仕切りから覗こうとしないだけの分別ものあるようだ
気持ちの良い風呂から上がると 山の幸をふんだんに使った美味そうな料理が運ばれてきた 美味い美味いと俺が食ってると ユカリが俺をジッと見ている事に気付いた 「食べれるなら食べてみないか? 身体に変調をきたすわけでもないなら」
俺が言うと興味深そうに料理を見ていたユカリが思い切ったように食べ始めた
「これが 美味しいという感覚なんですね?」笑みを浮かべてユカリが言う
巫女様は山菜料理をモリモリたべている 温泉で疲れも取れて元気になったようだ
それと 何故か一平太も一緒に飯を食っている 否 飯を食うと言うか酒を浴びるように飲んでいる 真っ赤な顔でユカリをチラチラと盗み見しているが 飲み過ぎだと注意しようかとも思ったが今日の事があるから 飲まなければやってられないんだろう
シロは巫女様の影に潜る事が出来るので 今は巫女様の影の中だ
翌朝 朝風呂を楽しもうと風呂場に向かう
湯舟に浸かりボーっとしてると小さく女の悲鳴が聞こえた
風呂場の垣根を越えて裏路地に飛び込むと 人相の悪い男達が若い男女を囲んでいた 「何をしている?」俺が叫ぶと男達が俺を睨みながら「関係ない奴は引っ込んでろ」と怒鳴る
次元収納から剣を取り出し男達に向かう 剣の柄で手前の男の鳩尾を突き 二人目には回し蹴りを入れる 残り三人が剣を向けて突っ込んで来るが受け流し 右肘に浅く斬り付ける 「「ヒャアー 逃げろー!!」」倒れている二人を担いで男達は逃げていった
「やはり お強い!!」いつの間にか 風呂場の垣根から覗いていた一平太が顔だけ出して言う 見てたなら手伝えよ まったくタオル一枚を腰に巻いただけじゃ格好がつかないだろ
襲われてた男女に 「大丈夫か? 何故囲まれてたんだ?」と声を掛ける
「ありがとうございます お陰様で大丈夫です 歩いていたら いきなり囲まれて」
そうか 多分女性と金目当てかな?男の方は優男っぽいし 武器も持ってないし
女性と話してると ふいに男性が倒れた 緊張の糸が切れたのかな?
「ここに泊まってるから 一旦その人を俺達の部屋で休ませよう」倒れた男性を見ながら提案する
「ご迷惑をお掛けします 助かります」女性が申し訳ないといった顔で答える
「一平太 悪いが宿の人に知り合いを休ませたいと言ってきてくれないか?」
「分かった!!」一平太の顔が引っ込む
玄関口に周り 部屋に案内すると シロにもたれかかっている巫女様を見て
「巫女様!!」女性が叫ぶ
だらけた姿を見られたのが恥ずかしかったのか 少し顔を赤めて上ずった声で
「はい」と小さいく答える
[私達は 巫女様にお会いする為 旅をしていたのです]女性が巫女様の手を取りながら涙声で言う
「私に 何か御用ですか?」巫女様が聞くと
「はい 私の村にある泉が穢れに侵されてしまって困っております ですので巫女様に祓って頂こうという話になりまして 私達が巫女様にお願いの旅に出たのです」
あの倒れた男は 弟らしい お姉ちゃんをしっかり守れよ!!
それと 一平太 デレデレしない!!お前 ユカリ狙いじゃなかったのかよ!?
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