第11話赤鱗③
「誰か おるか?」領主が叫ぶと
「ここに!」 一平太が部屋の中に入って来た
「巫女様をお迎えしてくれ」領主が吹っ切れた顔で言うと
「畏まりました」そう言って一平太は部屋を出て行く
一平太が俺達の所にやって来て
「主がお会いしたいと申しております 一緒に来て頂けませんか?」巫女様に慇懃に
頼んでくる
会いたいって 何か企んでんのか?まあ 何かあっても俺とユカリがいれば問題無いだろうけど
巫女様の方を見ると 「分かりました」とあっさり了承している
領主の家で結構いい部屋の上座に通され 待っていると
「巫女様 先程のご無礼 平にご容赦下さい 巫女様のお言葉 儂にも腑に落ちました」 部屋に入って来て 下座で平伏し いきなり領主が謝罪してきた
「そうですか 分かって頂けましたか」巫女様は涼やかな顔で答える
「直ちに全領内に出していた神の信仰を禁じるふれを撤回させます」
答える領主を見ながら巫女様が微笑む
「ただ 私達は東の村に行かねばなりません 西の村を見る限り やはり東の村も穢れに侵されているとみていいでしょう」
「儂が愚かなばかりに 領民に迷惑を!!」
「遅いわけでは ありません 今からでも十分間に合いますから 大丈夫ですよ」
言うや俺とユカリに目配する
東の村に行くのに 何故か一平太も就いてきた 領主の名代で村民に話をしに行くらしい 俺達の歩く速度にフーフー言いながらなんとか付いて来ている
フーフー言いながらも ユカリになんだかんだと話し掛けている
「ユカリ殿はおいくつなのですか?」 「何故 巫女様の旅のお供を?」
煩わしそうに ユカリも適当に「はい」 「そうですね」とか答えている
東の村に着くと なかなか大きい村なのに やはり活気がない
一平太が先に村長の所に行き 領主のふれを伝える
俺達は各家家を周り瘴気を祓っていく やはり かなりの人が侵されいた
最後に村の中心で祭事を行い村全体の穢れを払う
それから この村で祭られていた神様の社に出向くが 禍々しさが半端ない
社の扉を開けると 今までの二倍ぐらいの蛇がいた しかも今までのように赤色ではなく赤い鉄色というのか鱗自体が鉄でできてるようだ
「やはり 半神化しているようですね 赤鱗はそれまでの信仰を捨てさせ 自身を崇めさせ神化しようとするのです」 巫女様が言うが 半神になんて勝てるのか?
俺が思っていると「使徒様は元々半神ですから勝てます」巫女様が俺の心を読んだように言う
取り合えず いつもの様に頸を落としに行くが 今までの奴より格段に素早い 初撃を避けられ尻尾で突き刺すような攻撃を仕掛けてきた 身体を捻って回避し 赤鱗の背中に一突き入れると 思ったより軽く入っていった 苦し紛れに腹を見せたので すかさず「ユカリ!! 腹に突き刺せ」 言って 俺は剣を突き立てたまま背中から頭に向けて奔る 頭の付根に来た所で一旦剣を抜き跳躍して頭を切り落とす
霞になった所で 何時もの様に巫女様が錫杖を取り出して祓おうとするが 今回は右手に錫杖 左手に壺をもっていた 錫杖を振るたびに 壺に霞が入っていく
「今回は半神化していたので祓う事が出来ませんでしたので この壺に封印して時間をかけて祓います」そう言って壺を祭事の入れ物の中に納めた
一平太や村の人が見守る中 社の前で祝詞と舞を奉納し 本来の社の主を鎮めた
さて 第三の封印がある 隣領へ向かう支度をしている時に 一平太が同伴を頼んできた 領主の使いで行くので 迷惑でなければ一緒に旅をさせて貰えないかと
巫女様は微笑んで了承するが ユカリがちょっと嫌そうだ ウザいのかな?
初日に分かったのは 意外と一平太が強い事だ 道中出て来る魔物を難なく倒せている 戦う時以外は 常にユカリに話し掛けているが ユカリも少しは愛想良くしてやれば?
道中 野営の時に俺とユカリが同じテントでいつものように寝てると 突然
「何者!?」といつものようにユカリのお尻に当たってる俺の小刀を握りしめ誰何する 待って 待って 握りしめないで!!
何者もなにも巫女様 俺 ユカリ あとは一平太しかいないんだから 多分 一平太がのぞいてたんだろ?
翌朝 挙動不審になった一平太がオドオドとユカリに「ユカリ殿はご結婚されていたのですね? そうとは知らず 御無礼な質問の数々 お許しください」と言うと
「結婚はしておりません」若干顔を赤くさせてユカリが答える
「主様は私の主様です」キッパリと断言する
凄い目で俺を睨んでくる一平太 あ 愛人とかでもないぞ しいていうなら相棒かな? だから俺をそんな目で見るな!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます