第7話社と盗人
巫女様とユカリの元に帰って 無事龍に宝玉を返した事を伝えた後 俺も社の修理を手伝う為に社に向かう 巫女様とユカリは夜の慰労会の為の炊き出しを手伝うそうだ
二時間程歩いた所にある 大きな街で資材を買い求め 今日中には配達されるので
来るまで 社の周りの草取りや一時的に御神体を安置しておく簡易的な小さい社を作る
この社を建てた人の子孫がいて 設計図も残してあったらしく社の使える部分は残し
後は全て新しく建て直す事になった 建て替え部分を解体してると馬車三台分の資材が届き 解体班と資材の調整班に分かれ 其々作業をしていく
陽が落ちて手元も見えなくなったので今日の作業は止めて村に戻ると 居残り組が晩飯の用意をしてくれていた 酒も買ってあり 村の中央でワイワイと飲み食いして各々の家に帰って行った
俺達は村の一番奥にある空き家を使わせてもらい そこで寝ていた
朝方 人の怒声や悲鳴で目が覚め 何事かと戸を開けると 「ひゃああ!!」剣を持った男が叫んで尻餅をついた 多分こいつも戸を開けようとしてたら 俺が開けたから驚いたんだろう
「頭~ ここにもいやすぜ しかも女が二人!!」尻餅をついたまま男が叫ぶ
「こっちに連れてこい!!」村の中央から濁声が叫び返す
「こっちに来い!!」男が剣を俺に向けニヤニヤしながら言う
「分かった 一つ言っておくが 巫女様に何かしたら その白虎が襲い掛かるから 何もするなよ」 シロを見ながら俺が言うと シロの存在に気付いたのか「ひゅう」と男から声が漏れる
三人と一匹で村の中央に行くと 村人全員が集められており
濁声が「この村に金がある事は知っている おとなしく出せば何もしねえ だが抵抗するならこうだ!!」
濁声は一番近くにいた女性にいきなり斬りつけた 斬られたと思った瞬間 隣にいた男性が庇って男性が斬られた 「あんた~」響く女性の悲鳴
「巫女様 手当を!!」そう言って 俺は濁声の前に行き 鳩尾に強めに拳を叩き込む 濁声は体をくの字に折り曲げ 「ひゅー ひゅー」と呻いている
「この野郎!!」残りの盗人達が俺めがけて襲い掛かるが 顎に綺麗に一発づつきめて沈んでもらう 後二人となった所で肩に衝撃が走る 背後にいた奴から一撃食らったらしい 右肩を左手で押さえ振り向くと俺の肩を刺した奴の頭が吹き飛んだ
「主様を…… 私の主様を……!!」目が赤くなったユカリが言いながら俺を刺した奴の身体を切り刻んでいる 奴の頭を吹き飛ばした魔法もユカリがやったんだろう
「大した傷じゃないから 大丈夫だよ ユカリ!!」ユカリを宥めつつ 俺は肩にヒールをかけ 改めて残り二人を見る 明らかにっ戦意喪失しているが 顎に一発づつ入れて沈んでもらう
村人全員で盗人達を個々に縛り上げ まとめて盗人を村の大木に拘束しておく
一旦解散して 昼前に集まり俺は尋問のために残ったが 大多数の人が社の修繕に向かう
「で? なんでこの村に金があるって知ってたんだ?」俺が濁声に聞くと
「なんの事か分からんな」濁声はうそぶく
俺の親父は何故か拷問術まで俺に教え込んでいた ただのドSだったのかな?
ここでは言えない方法でいろいろ情報を聞き出したところ 資材の買い付けに行った店の番頭から 村に小金があるとの話を聞きつけ仲間と襲撃したらしい おまけに鵺が住み着くまでは あの社を拠点にして旅人を襲っていたらしい
帰ってきた村人に顛末を伝え 明日俺が街まで連行する事になった
翌日 シロの身体に縄をかけ 盗人共を引いていく 歩ける奴はまだいいが 歩けない奴は硬い道の上を引きずられ服も肌もボロボロになっている
頭の回る奴は同じ個所を地面に擦りつけ縄を切ろうとするが 「拘束」の魔法をかけているので無駄だ
街の門番に事情を伝え引き渡す ついでに情報を売った番頭の事も話しておく 後は彼らがどうにかするだろう
村に戻ると社は明日には完成するらしい 今朝の事で皆グッタリしているので 今日は宴会もせず家に帰った
次の日朝早くから社作り班は山に登り 残り組は宴会料理作りに動き出した 俺も社作りに参加し昼頃には完成した
周りを清掃し 俺は巫女様と居残り組を呼びに行く
皆を連れてきて 先ず巫女様が祝詞を奏上し 舞を披露する その後御神体を新しい社に安置し 再度巫女様が祝詞を上げ巫女様の後ろで村人達が
ひれ伏している それからは社の前でお祭りになり そのまま皆地面でごろ寝し始めた
さすがに巫女様をそんな目に遭わせる訳にもいかず テントを取り出して
いつものようにシロと巫女様 俺とユカリでテントに入る
「主様 今日は取り乱して申し訳ありませんでした 主様が刺された時に私の中で何かが暴走してしまって」
「いいよ 気にするな」
ただ 今日は向かい合って抱き合いながら寝た
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