第3話巫女様と樹海

大きな影が俺達の前に現れる 横に剣を薙ぎ払うが当たる瞬間に消えて後ろに現れた [ユカリ!!俺の後ろへ]

後ろへ回ったユカリが薙刀で切りつけるがまたもや間一髪の所で姿を消す

「巫女様 伏せて下さい!!」

叫ぶと同時に剣を横薙ぎに大きく振るう 右前に出てきたろころに剣が当たり手応えを感じる 「フギー」大きな影は横に切り裂かれ 頭部らしい場所にユカリが斜めに切り裂く 黒い靄となり影は消えた

「巫女様 大丈夫ですか?」 伏せていた巫女に近寄り声を掛ける

「ええ 大丈夫です」少し蒼ざめた顔で答える

「あれは 何ですか?」俺が聞くと

「あれは 魔神の片鱗です 私を亡き者にする為 封印から漏れ出た邪気の塊です あんなのが出てくるとなると結構 封印が弱まってるという事ですね」


そう言うと 衝立の後ろにある階段を上り始めた 登り切ると木や花の香しい匂いが立ち込めた清らかな空気に包まれた草原に出た ただ目の前に巨大な樹がそびえ立っている

「生命の樹です」巫女様が伏して拝みながら俺達に言う

神々しい雰囲気に思わず俺達も伏して拝む 少しすると樹の根元から 白い何かが出てきた 犬? 猫? 近づいて来て分かったが白い虎だ いわゆる白虎だ

「大樹様からの お言葉でこの白虎を供にせよとの事です」傍に来た白虎を撫でながら巫女様が俺達に説明する

「あなたの名前はシロです」白虎の目を見て巫女様が言うと彼?彼女?は「ワフッ」と返事を返す

封印の地を巡礼する為 必要な道具一式を神殿内の部屋から持ち出し 里に下りて巫女様の旅支度をし里の人達に見送られ第一の封印の場所を目指す

菅笠 手甲 脚絆に作務衣?みたいな恰好の俺と巫女服の女性二人 しかも一人は白い大きな虎に横座りし隣には祭具の荷物を置いて乗っている すれ違う人々も二度見してくる

順調にいけば三日程で着く予定だが 樹海の中にあるので あくまで予定だ


街道を逸れて鬱蒼と茂った木々の中を道なき道を進むが 太陽も見えない為時間の感覚もあやふやになってくる 少し樹海全体が薄暗くなり始めた頃 巫女様が開けた場所での野営を提案してきた 「行程に半分は来ましたので 今日はここで一先ず休憩にしましょう」

俺の空間収納から食料を出し 食事をするがユカリはそもそも食事が要らないし 巫女様は果実しか食べないから 俺だけマミに貰った干し肉と握り飯を食う

ユカリが結界を張ってtテントを組み立て 一つには巫女様とシロもう片方には俺とユカリで休むことにする 結界があるので不寝番は不要だ

巫女様とシロがテントに入ったので 俺とユカリもテントに入る

テントに入るとユカリが千早 白小袖 緋袴を脱ぎだす 「いやいや だから夜伽はいらないって!!」俺が叫ぶと

「いえ 私も主様が嫌がる事はいたしません 魔力の補充をお願いしたく存じます」

微笑みながらユカリが傍によってくる

「へっ 魔力の補充ってなんだ?」不思議に思って聞くと

「主様の魔力は枯れない泉の如く 体内から魔力があふれております 私のような魔導生命体にとって魔力を補充するというのは人間の食事のようなものです どうか私に魔力を分け与えて下さいまし 主様!!」にじり寄って言われるが目のやり場に困る

「分かったよ どうすればいいんだい?」

俺に背中を向けて横になると「服を脱いで後から体を密着させるように抱きしめて下さい」

これもユカリの魔力補充のためだと自分に言い聞かせて 後ろから抱きしめる

良い匂いがする 柔らかいし 肌も吸い付くようだ 胸を触るのも気が引けるので

腰に手を回す なんとなく俺の胸辺りからユカリの背中へ何かがユカリに流れて行くのが分かる

そんな事を考えていると

「主様 結界を張っているので武器は不要ですよ」とユカリに言われ

「いや 武器なんか持ってないぞ」と返すと

「いえ お尻の所に短刀みたいのが当たってますので」

「えっ」思わず腰を引いてしまう

「ユカリ すまん これは取り外し出来ないんだ」俺が小声でいうが ユカリは軽い寝息を立てて寝ていた

俺はテントを出て剣を取り出し素振りをする 足腰に力が入らなくなるまで剣を振りその場でへたり込み地べたで眠ってっしまう


目を覚ますと 二人と一匹は準備を済ませていた 俺はフラフラと立ち上がり

「おはようございます 遅くなってすみなせん」挨拶し支度を済ませる巫女様の示す通りに歩いていく 相変わらず時間は分からない 小腹も減ってきたのでそろそろ昼時だろう

空間収納から巫女様に果物を取り出し渡す 俺は干し肉を嚙み千切りながら

歩く シロには食事は不要らしい 魔力を常時吸収しているそうだ

突然 バキバキと前の方から音を立てて何かが近づいてくる 細い木々を薙ぎ倒して出てきたのは真っ黒い巨大な蛇だった

「シロ 後ろに下がって巫女様を腹の下に隠せ!!」

俺は飛び上がり蛇の頭に剣を突き刺すが同時に尻尾で弾き飛ばされる 木にぶつかり

「クッ」一瞬息が出来なくなる ユカリも果敢に突っ込むがのらりくらりと避けられて鋭い尻尾攻撃に苦戦しているみたいだ

「ユカリ 離れろ!!」言うと「氷結」と黒蛇に向けて叫んだ 黒蛇は氷の塊の中に閉じ込められ動くことさえ出来ない

その氷の塊を剣で破壊しバラバラにし仕留める 黒蛇の消えた後にでかい黒い石が出てきた「これは 黒蛇の魔核です 売れば路銀のたしになりましょう」そう言ってユカリは懐にいれる 巫女様はシロの腹の下から這い出てくると「フー」と一息ついてシロに乗り込んだ

目指す迷宮に近づくと木々は減り石畳の道が見えてきた

俺達は迷宮の建物のでかさに驚きながら門の前に立った

 


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