第2話星詠みのクレア

俺の家は大神道場という実践重視の道場を親父がやっている

「大事なのは勝つこと」これが看板である 素手でも得物を持っても 最終的に勝てば それで良し 卑怯上等 敗者には何も語る資格無し

物心付く頃から 親父に鍛えられ格闘技全般 剣等の得物を持っての戦い方を体に染み込むまで 鍛えられた  恐怖を克服する為に日本刀で胸や背中の薄皮まで切られおかげで体は切り傷跡ばかりだが 丈夫に出来ている

「「使徒様(主様) 夕餉の用意が整いました」」マミとユカリが呼びに来る

俺は剣の素振りを止め家(祭壇のあった祠)に戻る

「ところでマミ ユカリ 使徒様 主様と呼ばれている俺は何をしたらいいんだ?」

「う~ん 私は使徒様が目覚めるまで お供え物をしてお世話をするように言われていただけですから お目覚めの後の事は正直わかりません すいません」マミが申し訳なさそうに言う

「私は主様の手助けをするように 生まれましたので 他の事は……」ユカリも俯いて言う

「そうだ 星詠みのクレアに聞いてみましょう 彼女が使徒様の降臨を予言しましたから」

 「星詠みのクレア?」俺が聞くと

「はい この里で星の動きを見ていろんな事を占う女性です 彼女が使徒様の降臨を予言して私に供物すえるように助言したんです 彼女なら何か知ってるかもしれません」マミが提案してくる

「そうだな 身体もここの環境に慣れたし 聞きに行こうか? で どこに行けば会えるんだ?」口に頬張った握り飯を飲み込んで答える

翌日 三人で「星詠みのステラ」の住む険しい山を登る 小鬼が出てくるが俺の剣とユカリの薙刀で倒す

半日も登ったところで家というか小屋に着いた

「クレアー クレアー 居る?」マミが扉をノックしながら問いかけると 中で誰かが動いた気配がする やがて 扉が少し開き色の白い女性が顔を出す

細い目をマミに向けて ユカリ 俺と見て

「ああ 使徒様が降臨されたのですね」細い声でマミに言う

「そうなの!! でね 使徒様のこれからの行動を教えて欲しいのよ」

マミが言うと クレアは少し考えて

「分かりました 星を詠んで使徒様のこれからの行動の指針を見てみましょう」 

外に出て 空を見上げ何やらブツブツを呟きつつ懐から出した巻物を見ながら

考えていたた 突然「仙山に行って巫女を救出して下さい その後 八賢人の守る地を訪ね封印の強化をして下さい」と説明する

「巫女って何だ? 仙山って何処なんだ?」俺が聞くと

「詳しくお話しますので 中に入りましょう」促されて小屋の中に入る

中は望遠鏡みたいな物や沢山の本で足の踏み場もないぐらいに散らかっていた

「この世界には(世界を破壊する者)魔神がいます それは倒しても時間が経てば復活してしまうのです 前の使徒様のゲン様は復活を阻止する為魔神の核を八つに分けて封印しました それを八賢人が守っているのですが 封印が弱まってきています 再度封印する為には 巫女様の力が必要なのですが 今巫女様は危険な状態にあります ですから先ずは巫女様の救出をするのが大事かと」クレアが一気に話した

「そうか 巫女様が危険な状態と言うなら 急いで助けに行った方がいいな 明日にでも出発しよう」

「承知しました」ユカリが頷く

クレアにどうにか寝る場所を作ってもらい 俺達は泊めてもらう

山を下りて 仙山の場所を確認しユカリと二人で旅支度をする

「マミ 世話になったな 出来るだけの事はやってみるよ」マミの頭を撫でながらお礼を言う

「私も一緒に行きたいのですが 足手まといにしかならないのは分かってますので 御武運を!!」寂しそうにおれの手を握ってくる

「ああ ありがとう」握ってる手を両手で包むようにして言うとマミは涙をポロポロ

流す

仙山を目指してユカリと旅立つ 獣道みたいな所を進んで大きな街道に出て歩いていると 馬車が犬と小鬼に襲われていた 俺達は走り寄り犬と小鬼を切り倒す

「おお ありがとうございます お蔭さまで 九死に一生を得ました」商人は土下座で礼を述べるが

「別に大した事はしてないから 気にしないで下さい それより この道を通ってるって事は商人さんは仙山に向かっているんですか?」剣を納めながら聞くと

「はい 左様でございます」

「良かったら 用心棒代わりに俺達も馬車に乗せてもらえませんか?」俺が言うと

「願ってもない事です 最近 魔物の襲撃が多くて難儀しておりましたので こちらこそよろしくお願いします」 商人さんに言われて俺とユカリは荷台の後ろに乗せてもらう 街道から外れ尾根伝いの道を馬車は進む なんか平和だ 本当にこの国に危機が迫ってるのが嘘のようだ

二日程の道のりなので 途中一泊する 馬車も含めてテント周りに結界をユカリが張る 商人さんはこんな場所でゆっくり眠れるなんてと感動していた

次の日の昼頃には巫女様の居る神殿に着いた 商人さんは荷物を神殿内に運ぶと 陽のあるうちにと帰って行った 代金は里の信者達から貰っているそうだ

俺達は神殿内を探索して 巫女様を探す

祭壇の裏側に隠し階段を見つけたので降りてみる かなり長い階段で突き当りに着くまで数分かかった 大きな扉がありそれを開けると巫女服の女性が黒い影に襲われていた 俺とユカリで黒い影を切り裂き 巫女様を助ける

「貴方は使徒様ですか?」へたり込んだ状態で俺に聞いてくる

「はい 貴女様が巫女様ですね?」ユカリが答える

「はい 私が巫女のアヤカです 影の魔物の出現や使徒様がおいでになるという事は 八賢人の封印が弱まってきているのですね?」

目を伏せ巫女様が呟く

その時 一際大きな影が俺らの前に出てきた


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