男について

「一緒に住むことも決まったし色々と教えてやるか」


 ミラノがやってやりますかと言わんばかりに腕を回す。


「とりあえず外出についてだな、基本カイトは俺らのうち2人以上常に連れててくれ」


「なんで?」


「分かるだろ、女と男だ。何があるか分からんし我慢できるとも限らんしな」


「なるほどー」


 確かにミラノたちからしたら、俺は見ず知らずの男だし怖いよなと納得する。


「あと出かける時は女装が必須だ」


「なんで???」


 これに関しては意味が分からず頭を傾けてしまう。


「なんでってそりゃあお前が世にも珍しい男だからだよ」


「男が...珍しい?」


 何を言ってるか分からなくなってしまい混乱する。


「はぁ?お前もしかして、それすらも記憶ないのかよ」


 するとニーナが「どおりで先ほどの...」と言いながら自分の手を見つめながらニギニギとしていた。


「んーなんつったらいいか、難しいな」


 うーんとミラノが悩み出すとメアリーが口を開く。


「食料が少ない国の隣に豊かながある場合、貧困な国は隣の豊かな国に戦争を仕掛け奪いに行くわよね」


 うんうんと頷きながら話を聞く。


「今この世界では男がとんでもなく少ない為、男の奪い合いで戦争が起こってしまうと言う訳なの」


 ふむふむ?


「ちょっと想像しにくいわね。身近で起こり得ることに言い換えると、つまりですねうちに男がいるとバレると他の組織に私たちが殺されちゃうかもってわけなのよ」


 ここまで説明されてやっとことの重大さを認識した。俺を拾ってくれ、住むのも許可してくれた3人が傷つくのはいやだ。そう思う反面疑問に思うことがある。


「でも話したら分からないかな?3人だって別に俺といても普通だしさ」


「そう見えるなら結構なこった。でもな俺らも相当我慢してんだよ」


 そう言われてしまい、黙り込む。そんなことを話していると、いつのまにかニーナがいなくなっていることに気づいた。


「気づいたか、ニーナがいないの」


「どこ行ったの?」


 と単純に聞くと、2人は何か言いにくそうにしていた。


「発散しにいったんだよ、さっきカイトと手繋いで更に可愛いとか言ったろ?我慢できなくなったってことだよ」


 あの聡明そうで綺麗なニーナが俺と手繋いだだけで?


「分かっただろ?色々と」


 その後もこの家についてのルールなどを教えてもらっていると、少し落ち着いた様子のニーナが返ってきた。


 その時目を合わせると、少し気まずそうに目を逸らされてしまった。

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