話し合い
「とりあえず自己紹介からか、こいつは」
ミラノが俺に紹介を促すように振ってきた。
「天海カイトです」
「んで、そこの2人が」
「メアリー」
「ニーナです」
金髪ロングの手を振っている方がメアリーで、白髪のボブの子がニーナだ。
「んでカイトはどっからきたんだ?」」
ミラノがこちらを向きながら質問してくる。正直言って混乱していて何がなんだか分からない状況だ。
「目覚ましたら、いきなりあそこでメアリーに連れてこられて今って感じ」
「なるほどなるほど、それでは保護者はどなたで、家はどこですか?」
続いてニーナが丁寧な言葉遣いで質問をする。
「保護者、両親だよね。両親は...あれ、誰だっけ?家は...日本、日本のどこだっけ...?」
あれおかしい、何か上手く思い出せない。俺って元々どこで何をしてたんだっけ。
当たり前なはずの質問にうまく答えれず、頭が混乱していく。
そんな俺の様子を見た3人は目を合わせた。
「記憶喪失...ですかね」
ニーナが顎に手を当てながら呟くように漏らしたその言葉に俺は自覚する。
何か頭から抜け落ちているこの感覚が記憶喪失という症状であれば、色々と納得がいく。
「多分それだ...何も思い出せない」
沢山のことを忘れている気がするが...まあ覚えてないことは知らないと同じようなもんだし、まあいいや。
そんなことよりも俺はこれからのことを心配したほうがいい気がする。家なし、知り合い0、お金0、何も無し。
これからどうしようかと考えていると3人がこっちを向いていることに気づいた。
「俺一緒に住んでもいいですか?」
「ちょっと待ってくれ、相談するから」
とミラノが言うと3人は部屋から出ていってしまい、1人残された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なぁどうする?」
3人は顔を近づけミラノを初めにコソコソと話を始める。
「正直こんな美味い展開今後ないと思いますし。即答でイエスと言いたいところですが」
「言いたいことは分かるわ。バックに大きな組織がいたり、嘘をついて騙しにきてる可能性よね」
むむむーと2人が頭を悩ませているとミラノが口を開く。
「あいつの記憶喪失本当な気がすんだよな」
「と言いますと?」
「あいつ私との距離感がおかしいんだよ、なんつうか警戒心が全然ねえっていうか」
ミラノがそう言うとメアリーは納得したように「確かに」と頷くが、ニーナはまだ少し納得いっていない様子だった。
「うーん念の為少し試してから許可しましょうか。どうせこんなチャンス一生来ないでしょうし、当たって砕けろ精神です。」
そこで3人の話し合いは終わり、部屋に戻っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少しして3人が帰ってきた、思ったよりも早かった。
みんなが先ほどと同じように席に着いていくが隣にはニーナが座った。
「少し握手して貰ってもいいですか?」
そう言いながらこちらに笑顔で問いかけてくるニーナに少しドキッとしてしまい緊張する。
そんな心を悟られないようにポーカーフェイスで答えながら、右手を差し出す。
「はいいいですよ」
すると手を握ったあとにこちらを見てくる。さらに顔を近づけ、両手で俺の手をニギニギと触ってくる。
「ニーナみたいな可愛い子にそんな触られると照れちゃうかも...」
流石に心臓が持たないので、正直に言うとニーナの顔がみるみると赤くなっていく。
「えっ?」
いきなり裏返った声を出し下を向くと、手を離しちょこちょこと俺から離れて一番遠い椅子にちょこんと座った。
残りの2人も目を見開きこっちを見ている。なんかやらかしちゃったのかなと思いながらも気になることを聞く。
「それで俺ってどうなるんですか?」
「まあからならいいよな?お前ら」
ミラノがそう言った言葉に対しメアリーがコクコクと頷いたことで、この3人との同居が決まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます