第51話 悪役令嬢と一年の終わり

「みんな、ローズと沢山仲良くしてくれてありがとう!来年もローズを沢山よろしくね!さ、沢山食べて!」

「久しぶりのご馳走だ!やったー!」

「また皆が泊まりに来るってローズが言ってくれたからね、ちょっと奮発しちゃったわ!」

「ありがとうございます、リブリア婦人」

「ローズのお母さん、ありがとうございます!」


十二月三十一日。お泊まり会がてらみんなで新年を迎えようという私の提案で、また以前泊まったメンツでお泊まり会をしていた。そして今はご飯。今日は年末なのもあって凄い豪華だ。希少種であるラザッタチキンの肉や、サーレンという鳥の魔物の卵など令嬢って感じの高級料理ばっか。


「全然いいのよこのくらい。それよりも皆、ローズと仲良くしてくれてありがとうね。来年もよろしくしてくれると嬉しいわ」


ご飯を食べながらお母様がそう言う。……たまぁにさ、お母さんって呼んじゃいそうになるんだよね……だってもうほんとにお母さんって感じじゃん


「もちろんです!もう私とローズはお互いにいっぱい戦いあったライバルですから!」

「確かにそうだね、リリーと私はライバルだね」

「ローズもリリーも武術大会以降ずっとことある事に競ってましたものね……」

「テストだったり、ご飯の早食いだったり……ほんとに色々競ってましたね」


武術大会から今までの三ヶ月、かなり悔しかったのかリリーは事ある事に私に勝負を挑んできた。マイが言った通り学校のテストや遊びに行く時のお昼の早食い対決、他にもどちらが早めに学校につくかなど、こう言っちゃあれだけどくだらないような対決をずっとしてた。そして、ほとんど私が勝ってた。


「どちらが早く学校に着くか、以外は全部勝てたんだけどね~……」

「それも負ける日が来たらもう私はほんとに勝てない気がする……」

「そうそう超適正に勝てる日なんて来ないって……」


と、そんなやり取りをしながらご飯、お風呂を終えてまた、私の部屋で四人でゆっくりとくつろいでいた。


「いや~……やっぱり何度来てもこのローズのベッドふっかふかぁ~」

「ほんとにこんなふかふかのベッドで寝れるなんて、ローズは羨ましいですわ……」

「えー?イリアのベッドもふかふかだったじゃん」

「そういえば、私一度もイリア様のお家に行ったことないんですよね」

「そういえば確かに……あとリリーもそうでしたわね。また今度招待しますわ!」

「ありがとうございますイリア様!」


私は一度、イリアの家……というかミシェンス邸に泊まったことがある。中々に綺麗で、ベッドもとてもふかふかでよく眠れたのを覚えている。あと、イリアを抱き枕にしちゃって朝起きたらめっちゃイリアが赤面してたことも。


「……あローズ、見て。あともう残り三十分だよ」

「ほんとだ。やっぱりみんなといると時間の流れを早く感じちゃうな」

「それわかるかも。私もローズ達といると時間感覚かなり狂うし」

「それじゃあ……今年を軽く振り返りませんか?」

「それいいですわね!一年の締めとして振り返るのはいい事だと思いますわ!」


リリーが時計を指さす。リリーに言われるがまま時計を見ると、時計の針は二十三時半を指していた。

いやぁ……にしてもほんとに色々あった一年だったな。とりあえずバッドエンドはもうほんとに心配いらないだろうし。まぁ……乙女ゲームとは?ってくらいめっちゃバチバチにやり合ってたけど……


「じゃあまず四月からだね。四月は忘れられないよね~。なんてったって私とローズの再開があったんだもん」

「あと初めてみんなでショッピングデートに行きましたわよね。あれ以降、ローズに対してナンパがなくてほんとに良かったですわ」

「あとその次の日のダンジョン試験で初めてリリーの強さを知ったんだよね。あそこで共闘できたの楽しかったなぁ」


……と、そんな感じで色々と振り返ってたら、もう五十九分になっていた。


「あ、みんな!そろそろだよ!」

「折角だしカウントダウンしよっか!……よし、残り五秒前。五……」

「四」

「三」

「二」

「一……」

「せーの、あけましておめでとう!!」

「あけましておめでとうございます!皆様、今年もよろしくお願いします!」

「私の方こそよろしくね!」

「みんなで年を越せて嬉しいですわ!……少し眠たいですわね」

「わざわざ起きててくれてありがとう、イリア。マイもリリーも、眠たかったら寝てもいいからね」

「はい、ありがとうございます!」


リリーの合図でみんなでカウントダウンをして、新年を迎える。こう、やっぱりいつになっても友達と新年を迎えるって言うのはとてもいいものだね。そしてそれから数十分後、イリアもマイも寝ていた。そしてまた私はバルコニーに来ていた。


「……うん、やっぱりここは落ち着くな」

「またここにいたんだね、ローズ」

「うん。やっぱりこのバルコニーは私の一番好きな場所だからね。ここで感じる夜風程気持ちいいものなんてあまりないよ」

「気持ちいいよね、ここ」

「リリーもわかってくれる?」

「うん、もちろん」

「ふふ、ありがと」

「……ローズ、変なこと言っていい?」

「ん?うん、いいよ」

「もし、私がローズの事好きって言ったら……どう思う?」

「リリーが私の事を、か……うーんどうだろ。ごめん、わかんないや」

「ううん大丈夫。急に変な事聞いてごめんね、気にしないで。それとあけましておめでとう、ローズ。今年もよろしくね」

「うん、あけましておめでとうリリー。今年もいっぱい思い出作ろうね」


そう言ってリリーは部屋に戻って言った。また少しして私も部屋に戻って寝た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る