第48話 武術大会決勝戦 悪役令嬢VS主人公 中編
「派手に行くよ!《弾丸・全フルバレット》!」
「これは……ローズの使える魔力を全て詰め込んだのか。けど……切れないことは、ない!」
「全部切られちゃうか……そっか。ならこれはどう……はぁっ!」
「それはジークが使った時間差爆発するやつ……なら後ろに」
私はリリーに私の使える四属性全てを込めたバレットを放つ、が切られてしまった。……が、それは私の作戦通りだ。実は、この先程ジークが使った技は全てフェイク。いやまぁフェイクといってもフェイクじゃないんだけど……時間差爆発は確かに起こす。あわよくばそれでダメージ与えてもいいんだけど……私の狙いはフルバレット。実はあれにも時間差爆発するよう仕込んである。確か十秒後に爆発するようにした。
「……うわっ、またかって範囲広いなもう!」
「必然的に空に行くよねそうすると。……えい!」
これも見切られ、リリーは跳躍力を強化し空へ飛び上がり、爆発をすべて避ける。だから私は水槍と風槍を投げる。
「やっと槍とかぶつけるようになってきたか。ま、当たらないんだけどね」
「よし、水鎖!」
「もうちょっとでローズにダメージを与えれるところだったのに……ふっ!」
リリーは槍をかわして地面に降り、地面を強く蹴って私の所に突っ込んできた。ので五本の水の鎖で対応する、が操る間もなく全て切り裂かれてしまった。
「そうだなぁ……よし、《鎌鼬》!」
「風に切り刻まれるから正面は無理、と……ならば真上から!」
「それも読んでるよ!はぁぁっ!」
私は鎌鼬でリリーが真正面から突っ込んでくるのを防ぐ。するとリリーは私の予想通り上から来たので、私はそれを飛んでかわす。そしてカウンターに一発、リリーに自由自在の火球を叩き込む。自由自在というのは、爆発させるのも増殖させるのも私がその時その時に変えれるから。
「これは……分裂か。よし、なら!ってまた分裂した!?」
「だいたい今は二十一くらいか。威力は小さいけど……これくらいの数あればいいでしょ。爆ぜろ!」
「な、爆発!?……うわ、危なっ!」
リリーが火球を切る度にどんどん火球が増えていき、二十一個になった時、私は火球を爆発させる。いくらとてつもなく小さな火球と言えども二十一個の爆発を受けてただで済むわけがなく、リリーは手にやけどを負った。にしてもここ最近火傷多くないかなぁ
「ねぇローズ……楽しい?」
「うん、楽しいよ」
「そっか。私もすごい楽しい!だからもっともっと……楽しんでこうよ!」
「……見えなかった」
ここに来て本気で強化してきたか……まずいな、常に動体視力を強化しないとリリーを目で追えない。
「ふふ、まだまだローズならついてこれるよね?」
「もちろんに、決まってる……でしょ!」
「そうこなくっちゃ、ねっ!」
多分今私とリリーは誰にも見えない速度で戦ってると思う。ものすごい風圧を伴って私に突っ込んでくるリリー、同じくそれをものすごい力で受け流している私。というかほんとに私って最後にならないとリリーに倒されない設定なんだよね!?
「雷よ、炎よ、水よ、剣となれ!」
「普通詠唱程度ならさすがに余裕で受け流せるって!」
「速力だけじゃないんだね、あげてるのって」
「言ったでしょ?剣にも強化を適用させれるって。だから私に速力強化をかけつつ、剣にも速力強化をかけてるの」
「それなら魔法にも応用できるのかな?……試してみるか、えいっ」
「……えっ?」
試しにちょっと強化魔法をかけた状態で水槍をリリーに放ってみる。すると、水槍はリリーと同じくらいのスピードで突っ込んでってリリーの頬を掠めてどっか行った。リリーの頬からは少し血が流れていた。
「秒で適用するなんて正直すごい驚いた……本当にさすがローズだよ。私の中の最強」
「リリーもものすごい強いじゃん。剣に強化魔法を適用するなんて魔法よりも遥かに難しいことだしね。まぁさすがは私の中の最強って感じ?」
「……よし、じゃあそろそろ切り札を出そうかな。……私に応えて、神秘の剣!」
「やっと本気出してくれたね。ありがとう、リリー。どこまでも私を楽しませてくれるっ!」
リリーが神秘の剣を天に掲げる。すると、神秘の剣は強く光り始めてオーラのような何かを纏い始めた。
さぁ、ここからが本当に本番だ。リリーが剣魔法を使ってくる。
「炎鎖!」
「多少威力は落ちちゃうけど……ふっ!」
「強化魔法使ってもやっぱ切られちゃうのか……そうだなぁ、どうしようなぁ」
「考える暇なんである?……捻れる斬撃!」
地面から炎の鎖が突き出てリリーめがけて向かっていく。もちろん強化魔法がのっているので速さもえげつないものになっている。リリーは剣から斬撃を出して鎖を再び切り裂き、今度は私目掛けて斬撃を放ってきた。……やっぱり速い。瞬きしたらもう次の瞬間には眼前だ。
「……風よっ!私を守って!」
「強化魔法使われた状態だとろくにその盾を割ることもできないか……でも、ローズは魔力残ってるかな?」
「まだまだ全然残ってる!……《弾丸・全フルバレット》!」
「まだそれだけ出来るんだ……斬撃の雨!」
私は風の盾で斬撃を防ぐ。さすが強化魔法、魔力の消費はいつもよりも増えるけどその分より強固になってる。そして私は、再びフルバレットを放つ。リリーは動体視力をあげて避けようとするが、無理と判断したのか斬撃を空に放った。すると斬撃は宙に消え、斬撃が消えたところに魔法陣が浮かび上がっておりそこから無数の斬撃の雨が降ってきた。
「炎よ、水よ、風よ!私を守る盾となれ!」
以前戦ってわかった。この斬撃の雨は、一発一発の威力が重たい癖にかなり量もある。ので私は三重の盾を作って防ぐ。……まずいな、魔力が残り半分程になってしまった。
「はぁ……はぁ……」
「その様子だと、ローズも魔力が半分になったんでしょ」
「ふふ、正解。もしかして、リリーも?」
「うん、私も。だからローズ……ラストスパート、始めよっか」
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