第37話 悪役令嬢達の夏休み ~夏祭り~
ちょくちょくイリアの家で勉強会したり、ジークの家に遊びに行ったりを挟んで七月を終え、今は八月。
そう、あの日約束した夏祭りの日だ。この日の為に私は浴衣を用意した。アベルにも選んで貰うのを手伝って、自分でもかなりしっくりくるのを選んだ。
「お嬢様、リリー様が来ましたよ」
「はーい!すぐ出るね!」
やっぱりリリーは来るのが早いな。多分……強化魔法を応用すればここまで大体五秒くらいで来れるんじゃない?
「迎えに来たよ~って、おぉ~!ローズ、その浴衣凄い似合ってるね!」
「ありがとう!リリーも、すごい似合ってるよ!」
「ふふ、ありがと!」
「そういえば……他のみんなは?」
「多分もう先行ってるんじゃないかな?」
「そっか!じゃあ私達も早く行こ!」
「うん!」
と、それから私とリリーは走って祭り会場の方まで向かった。途中でちょっと迷ったけど……まぁ何とかなったからいっか!
「あ!ローズ様!その浴衣、とても似合ってます!」
「ありがとう、マイ。マイも凄い似合ってるよ!」
「ほんとですか!?そう言って貰えて光栄です!」
待ち合わせ場所として話してた場所には、マイがいた。多分ほかの人達はもう屋台買いに行ってるのかな、と思ってると前からリアンがりんご飴を持って歩いてきた。
「ふぃー、並んだ並んだって……お前らやっと来たのか!ちょいと遅かったじゃねぇか」
「あはは……ごめんごめん、ちょっと途中で道に迷っちゃって」
「ま、無事でよかった。ラーベル、イリア、ジークも多分もう時期来ると思うぜ」
そうリアンが言うと、今度は後ろからチョコバナナを持ったイリアが走ってきた。
「あ、ローズにリリー!少し遅かったから心配しましたわ!」
「ちょっと思いのほか迷っちゃって。あとそうだ、イリアのその浴衣、とっても似合ってるよ」
「ありがとうございます!ローズも物凄い似合っていますわよ!」
とイリアと話していると、横から大きなわたあめを持ったラーベルとジークが歩いてきた。
うーん……なんかラーベルにわたあめって大分可愛い気がするな。
「すいません。わたあめを買いに行ってたら少々迷ってしまいました……ってあ、ローズにリリー。やっと来ましたか」
「わたあめが大きかったのとちょっと思いのほか人が多かったもので……あ、ローズ様にリリー様。無事に来られてよかったです」
「あ、ラーベル様にジーク!……よし、皆そろったね!」
「それじゃあ改めて、皆で楽しもっか!まぁ……ちょっと遅れちゃったけど」
それから皆で色々歩いて、いろんな屋台を見て回り、時間を過ごした。
まずは射的。
「ローズ様、この前のお泊り会での約束は覚えているでしょうか」
「うん、覚えてるよ。確かマイに何か景品を取る、だったよね」
「はい!覚えててもらえて何よりです!」
「それで……マイは、何が欲しいの?」
「でしたら、あの海のペンダントが欲しいです」
と、マイはかごの真上に括り付けられている海のペンダントを指さす。
えっと、この場合は……
「このペンダントに目をつけるか。嬢ちゃん、中々いいセンスをしてるな。だが、このペンダントは括り付けている紐を切らないといけねぇんだ。ほかの景品よりもより精密なコントロールが必要になるからかなり難しいぞ」
「教えてくれてありがとうございます、おじさん!おかげで一発で取れる」
「おぉ、嬢ちゃん大した自身じゃねぇか。そんじゃ、いっちょ見せてもらうかな」
説明を聞く限りだと簡単そうだな。多分、小さい風の矢を作れば行けるはず……よし。
「風よ、矢となれ!」
私は、手のひらサイズのほんっとーに小さい風の矢を作り、それを片手で弾く。
風の矢はまっすぐ飛んでいき、ペンダントを括り付けている紐を切り裂いていき、ペンダントを優しく包むクッションとなり消えていった。
「おぉ、こりゃたまげた。まさか本当に一発でいっちまうとは。すげぇな嬢ちゃん。嬢ちゃんくらいの実力なら王国騎士にも入れるんじゃねぇか?……あい、とりあえず景品のペンダントだ」
王国騎士……確か国を守る使命を与えられたかなりの実力を誇るものだけが入れる騎士団。あと本来のルートでの未来のマイがここに入っている。
「私に騎士なんて向いてないと思うけど……ありがとう、おじさん」
「やっぱり流石ですね、ローズ様は」
「……はい、約束」
私は店のおじさんからペンダントを受けとり、マイの首にかけてあげる。
「改めてありがとうございます、ローズ様。大事にしますね!」
「うん!ってあれ?そう言えばみんなは?さっきまでいたはずだけど……」
「あれ?本当ですね。さっきまでここにいたはずなのに……」
……しまったしまった!はぐれてしまった!マイが一緒とはいえだいぶ不安だ!
「とりあえず一回あまり人がいないところまで行こう!ここにいても多分邪魔だから」
「はい、そうですね。一度落ち着いて、情報を整理しましょう」
……とりあえず何事も起きなければいいけど
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