第31話 悪役令嬢達のお泊まり会 終
「それじゃあ次は……」
「でしたらはい!私がいきますわ!」
「じゃあイリアで!」
そのまま普通に女子会……というか恋話は続き、次はイリアの番になった。
リリーの理想の人の話は本当に偶然だった、ととらえることにした。まぁ本来のリリーは攻略対象と恋をするわけだからちゃんとした理想の人とかは定まってないしね。
「私は……ちょっと知的で優しくて、けれどどこか情熱的で、ずっと私を好きでいてくれるんだなって信じれるような暖かい人ですわ!」
「わかってはいましたけど……もろラーベル様じゃないですか」
「ええ。いつまでも私はラーベル様をお慕いしてますわ!女性でしたら……一番は当然、ローズですわ」
「イリアは本当にラーベルとローズが大好きなんだね」
「でもちゃんとラーベル様との関係が良好なままでよかったよ。あまり二人が話してるところ見ないからさ」
「ラーベル様、意外と恥ずかしがり屋さんで『いくらローズたちとは言えど、流石に人前では……』との事だったのであまり学校とかでは控えめにしてますが、二人きりの時とかは普通に甘えたりしてますよ?ちなみに『ローズ達ならば……まぁ女性同士ですし』とも言って貰えてるので、ローズ達には心置きなく接していますわ!」
「ラーベル様って恥ずかしがり屋だったんですね。普段の様子からは予想できませんでした」
「ラーベル様って実は、水着を見ただけでも顔が真っ赤になるほどピュアなんですのよ」
それは単純に水着を着たイリアが似合いすぎているだけなのでは?ほら、イリアってすこし胸大きいし……割と体も細いほうだし?でも水着かぁ……今度皆で海行きたいけどまたナンパとかされたら怖いなぁ……
「それじゃあ最後アベル!」
「私……はそうですね、お嬢様と似たような感じでいざというときに私を守ってくれて、落ち込んだ時には優しく励ましてくれたりするけど、どこか抜けてて私がお世話とかしないとダメな人、ですね」
「やっぱりメイドさんだからお世話とかするのが好きなんですか?」
「そういう子供らしい一面とかを見つけると可愛いなって思います」
「……水を差すようで悪いんだけどさ、やっぱりほとんどローズに当てはまってない?」
「申し訳ございません、完全にお嬢様を意識して言いました」
「あ、意図的なんだ……」
「私は今の仕事に誇りを持てています。けど、私がもし恋をするならお嬢様のような男性だけと思いまして」
というか私ってアベルに子供らしいとか思われてたの?……いやまぁたしかに私自身ちょっとだらしないからアベルがいないとダメなんだけどさ。
「でも私ってアベルを守ったことあったっけ」
「ありますよ?ほら、以前街の方で買い物に行った時に……」
「何かあったんですか?」
「ちょっとその話気になるかも!」
「……アベルって意外と不幸体質?って言うのかな、たまに驚くくらいツイてない日があるんだよね。上から壺が降ってきたりとか、子供達の喧嘩の巻き添え食らったりとか」
「そしてお嬢様と出かけていた日がちょうどそのついていない日だったんです。先程お嬢様が仰ったとおり、上から壺が降ってきたり、子供達の喧嘩の巻き添え……というか流れ弾で魔法が飛んできたり」
「で、それを全てローズが守ったと」
「はい。それで益々お嬢様を尊敬するようになりましたし、一生お嬢様にお仕えしたいと思いました」
「……やっぱりローズ様は優しいですね。その強大な力を、私達を守る為だけに使ってくれますもん」
「ありがとう、マイ」
それからも色々話して、みんなで盛り上がって。それを繰り返してるうちに時計の針は一時を指して、アベルは部屋に戻り皆も眠った。そんな中、私は眠れずに外の空気を吸いにバルコニー?ベランダ?にいた。
「……やっぱり楽しい時間っていうのは簡単に過ぎてっちゃうもんだね」
「……この世界でも、月ってこんなに綺麗なんだ」
夜になると、私は独り言が増える。今宵は月が綺麗なのも相まって。一回、こうして月を眺めながら一日を振り返ってみたりしたかったんだよね
「……良かった。本当に良かった。こうやって、みんなを助けれた。バッドエンドも回避出来た。…………だけど、やっぱり傍には紗蘭もいて欲しかったな」
ちょっと、寂しい気持ちもある。紗蘭が入ってきてからの二年、ずっと一緒に遊んできた仲だから。確かに今は凄い幸せだ。近くに沢山推しがいる。推しに自分を好きでいて貰えてる。……だけど、紗蘭がいないとどこか物足りない
「……ローズ、眠れないの?」
後ろから誰かに声をかけられる。後ろを振り返ると、そこにはリリーがいた。
「あ、リリー。リリーも起きてたんだ」
「あはは……なかなか眠れなくてね」
「私も寝れなくてさ。月も綺麗だったからちょっと風に当たろうかなって」
「ローズ、寒かったりする?」
「ううん、全然寒くないよ。急にどうしたの?」
「ちょっとお話しようよ。付き合ってくれる?」
「うん、いいよ」
「ありがとう、ローズ」
「……それで、お話って?」
「質問ゲームってのしようよ。私、ローズの事もっと知りたい」
「質問ゲーム?」
「ゲームっていうほどのものじゃないけど……お互いに質問してって答えてく。ただそれだけだよ」
「いいけど……どうして急に?」
「さっきも言ったとおり、ローズの事をもっと知りたくなったから。でも、ローズだけずっと答えるのは不公平でしょ?だから、私の事ももっと知って貰いたいなって」
質問ゲーム……初めて聞いた。けど急に私の事が知りたくなったって……いや、まぁそういうこともあるのかな。だって今普通のルートじゃないし
「それじゃあまず私からいい?」
「うん、全然いいよ」
「リリーの好きな食べ物は?」
「最初だとそんな感じだよね。……ラーメン」
「……こんな感じでいいの?」
「うん、これを繰り返してくの。それじゃあ私の番ね。私も最初だから同じ質問でいいかな。ローズの好きな食べ物は?」
「オムライスと、それからスイーツ」
「だよね。食べてる時のローズ、凄い目をキラキラさせてるもん」
……リリーも凄い目をキラキラさせてラーメン食べてたけどね。にしても次、何質問しようかな……
「好きな動物は?」
「猫……と狼」
「狼も好きなんだ」
「可愛くない?狼」
「言われてみればちょっと可愛いような気もする」
「それじゃあ次、私ね。……リリーって怒ったことってある?」
「怒ったことは無いけど……四年前、イリアやマイを助けた時は怒りに近い感情だったかも」
「……やっぱりローズは優しいね。人の為に怒りやそれに近い感情を抱けるのは優しい証拠だよ」
「そっか。ありがとう。それじゃあ次は私だね。……リリーは朝と夜ならどっちが好き?」
「夜だね。私、明るいよりかは暗い方のが好きだし、星も月も綺麗だし」
「ふふ、同じだね。私も、夜が大好きなんだ」
「いいよね、夜って。……次の質問ね。ローズは、大切な人が傷つけられてたらまず第一に怒る?心配する?」
……なんかさっきからリリーにちょっと探られてる気がするんだけど……多分気の所為だよね?どんどん質問も限られたシチュエーションになっていってる気がするし……まぁいっか。
「そんな事があったらきっとまず第一にその傷つけてる人に怒ると思う。それで、色々落ち着いたら心配するかな」
「ふふっ、ローズらしい解答だね」
「そうかな?私が思う当たり前に従ってるだけだよ」
「……ローズが思う当たり前、か」
「うん。……それじゃあ次、私だね。……度々出てくるリリーの遠い友達は、リリーにとってどんな人?」
「私にとって、その子は……一番尊敬できて、私にとって太陽みたいな子、かな?誰にでも笑ってくれて、私達を照らしてくれるから」
「そっか。いつか、そのリリーの友達にも会ってみたいな」
「私もローズに会って欲しいな。今どこにいるか分からないけど。……ちょっと話してたら眠たくなってきちゃった。次が最後の質問でもいい?」
「うん、全然いいよ」
「ローズは、自分を嫌っている人が助けを求めていたら、助ける?それとも助けない?」
「だったら、助けるよ。他人にどう思われていたって関係ない。大事なのは、自分がどう思っているかだから」
「そっか……その素敵な解答が聞けて良かったよ。それじゃあ私は寝るね、おやすみ」
「うん、おやすみ」
そうして、リリーは戻っていった。私も、少ししてからまた戻り、三十分くらいして眠りについた。
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