第30話 悪役令嬢達の女子会 その二
「それじゃあ早速……皆って好きな人できた事ある?」
「私はかつてのローズとリリーのおかげでとても幸せな恋が出来てますわ!」
「そっか!ならよかったよ」
女子会が始まり、一番最初からリリーがそう聞いてきた。まず最初に答えたのはイリアだが、イリアに関しては……本当にリリーが補助をいれてくれたおかげでくっつけれたんだよね。
「私は……異性でならいないですけど……同性でしたらローズ様をずっとお慕いしてます」
「そっか。ありがとう、マイ」
「うんうん、やっぱりマイはそう言うと思った!私はまだみんなとの付き合いが物凄い浅いんだけど、それでもマイは本当にローズの事が好きなんだなーってわかるもん!」
「ローズ様は私の一番尊敬する人です。だって、ローズ様のおかげで私は変われましたから」
「……そっか、ありがとう。マイ」
マイは以前から、行動で好きをアピールしてくるタイプだったんだけど……いざこうやって言われてみるとちょっとこそばゆい気もするな。……でもいっか。マイが幸せなんだから。
「ローズはいるの?好きな人」
「うん、いるよ」
「お嬢様、いたんですか?」
「ローズ様が好きな人……ちょっと気になります!」
「えっと……ずるいかもだけど、皆かな。私、みんなのこと本当に大好きだから」
間違ってはいない。この四年間で、みんなが推しになったから。もし前世に戻れるなら皆のグッズをかき集めたいくらいには本当にみんなのことが大好きだ。
「えへへ……ありがとう、ローズ。私もローズの事だーいすき!」
「わっ、ちょっとリリー!危ないよ!」
「失礼します……え、えいっ!」
「アベルまで!?」
「私もお仕えするのがお嬢様で良かったと心から思っております。大好きです、お嬢様」
リリーに急に抱きつかれて、押し倒される。……ちょっと、いやだいぶ恥ずかしい。それに少し申し訳なさそうにアベルも乗っかってくる。……可愛いな。二人とも。凄い恥ずかしいけど。
「ちょっと助けてイリア、マイ!動けない!」
「ちょっと二人とも!羨ましいです!」
「あっはは、取り乱しちゃった。ごめんごめん!」
「……」
「また後で、また後でならいいから……ね?アベル」
「……でしたら、まぁ……」
マイに言われてリリーもアベルも離れた。けど……珍しくアベルがいじけてる。それもほっぺをぷくっとさせて。……あ、可愛い。
「話を戻そっか。それで、次は私だね。一応私も好きな人はいないかな?リアンとは親が決めた事だし仮の婚約だし。けど私もみんな大好きだよ!」
「リリー様はリアン様と婚約されているのですね、初めて知りました」
「アベルさんとは初対面だしね。さっき仮って言ったのは、どちらかが心から好きな人が出来たら婚約を解消しようって約束をしてるからね」
「リアン様はそれで良いと……?」
「うん。『ま、お前にもお前の人生がある訳だからな。好きに恋愛すら出来ないのはたまったもんじゃないだろ』って」
「もしかしてだけどリアンって相当優しい?」
「うん、凄い優しいよ。……一応聞くけどなんだと思ってたの?」
「えっと……好戦的?」
「割と破天荒な方だと……」
「割と情熱的?」
「……あながち間違ってないかも、それも」
いやまぁ知ってるよ?リアンが相当優しいのはゲームでもそうだったし。でもなんか戦闘狂とかのイメージの方が強いんだよね……リアンって
「最後はアベルさんだね!」
「アベルで構いませんよ。それから……私も、今まで一度も恋をしたことはありませんね。でも、恋に近い感情であればお嬢様に」
「やっぱり凄いね、ローズって。色んな人から慕われてるじゃん!」
「ええ。私は、下手したら今も痕が残るような大火傷を防いでもらいましたから」
「私は、私は忌み子なんかでも呪われてもいないって事を思わせてくれました」
「私は……まだメイドとして不安でしか無かった時に、沢山励まして貰いました。そのおかげで、こうしてお嬢様のメイドに誇りをもてています」
「本当に凄いね、ローズ」
「そうかな?とりあえず……ありがとう、みんな」
ほんとにほんとに、過去に色々頑張った甲斐があった。今思い返してみれば、バッドエンドを回避するためとかいう理由で助けてた自分を殴りたいくらいだ。いやまぁ……アベルは私が気になるから助けただけだけど。
「次はそうだなぁ……あ!もし交際するならどんな人がいい、とかどう?」
「交際するならどんな人か……ですか」
「うん!みんなの理想像?みたいなのを知りたいから!」
「……もしかしてだけどリリーって恋話大好き?」
「え?もちろん!人の恋愛とか色々知れるんだもん!」
「友達の恋愛事情とかはちょっと気になりますよね」
……やけにテンションが高いと思ってたらそう言う事だったんだ。……いやまぁわからなくもないけど。というかマイもわかるんだ。
「じゃあまずローズから!」
「いきなり私からか。……えーっとね、まず前提として優しい人がいいでしょ?それからいざという時に私を守ってくれる人がいいな。でも完璧過ぎてもあれだから……ちょっとどこか抜けてる可愛い人がいいかな!」
「ローズって守られたかったの?普段からすごい強いのに」
「あー、うん。ほら、リリーならわかると思うけど私ってナンパとかはトラウマだから本当に力も魔法も使えないし声も出せないくらい弱くなっちゃうの。そんな時にかっこよく守られたら多分キュンとしちゃうなって」
「それは……キュンとしちゃうかも」
「ローズ様って普段とてつもなく強くて頼もしい分、その乙女の部分?みたいな所は凄い可愛いですよね」
「じゃあ次は……」
「じゃあ次は私が」
「うん!じゃあ次はマイで!」
「私は……やっぱりローズ様のような、私の事を否定しないでくれて、誰にでも物凄い優しくて強い反面、守りたくなるようなとてつもなく可愛い一面がある人がいいです!」
「予想通り、マイの理想は極めてローズに近いですわね」
「はい!だってローズ様ですもん!」
「マイって時々妹みたいになるよね」
「ローズ様がお姉様、ですか……それ、すごいいいですね!」
「それじゃあ次は私話すね。私の理想の人っていうのは……ものすごい勇気があって、誰にでも優しくて誰にでも笑えて。でもちょっとどこかだらしなかったり可愛かったりして、それで自分の好きな事を心から誇って好きって言える人かな!」
「……これ、いくつかローズに当てはまる気がしますわ」
「んー、だったら偶然だよ偶然!たまたま私の理想の人にローズが近かっただけだと思う」
「いや、まさか……?」
「ん?お嬢様?」
「あ、あぁごめん!ちょっと考え事!」
これは偶然なのか、はたまた意図した事なのか運命のイタズラなのか。さっきイリアはいくつかローズに当てはまる、と言っていた。が実は、客観的に見るのであればこれは全部私……茨 峰華に当てはまっている。なぜなら、リリーが言った全ては私が前世で紗蘭に言われた事だからだ。……いやいやまさか、こんな偶然があるなんて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます