第29話 悪役令嬢達の女子会 その一
ご飯を食べ終えた私達は、そのまま皆でお風呂も済ませてパジャマに着替え、広いベッドの上に座っていた。久しぶりのお泊まりで忘れていたが、中々にマイも胸あるんだよな……多分この中で私が一番小さいんじゃない?
「いやー、気持ちよかった~!やっぱりお風呂っていいね!」
「ですね!凄いすっきりします!」
「リリーが急にお湯かけてきた時はちょっとびっくりしたよ~!」
「えへへ、ごめん!でも楽しかったでしょ?後半ローズも乗り気だったし……というかちょっと水魔法使ってたし」
「私は巻き添え貰いましたけどね……?」
「あはは……ごめんイリア。いつもお風呂って一人だからさ、誰かと入るとついはしゃいじゃうんだよね~……」
「うーん、でもその気持ちはわからない事もないかも!私だって四年前くらいはマイとアベルとはしゃいでたもん」
「そんなこともありましたね。そして必ずローズ様のお母様が……」
「そんなこともあったね……あの時はほんとに地獄を見たよ……」
アベルも水魔法の使い手で、四年前はよくマイとアベルと一緒にはしゃいでその度お母様に酷く怒られていた。……普通に二時間くらいお説教されてたんじゃないかな。お母様はすごい怒ると怖いというかめんどくさい。……そこはリアルに寄せなくても良かったんじゃないかな
「お嬢様方、牛乳です」
と、アベルが部屋まで牛乳を持ってきてくれた。アベルは以前からお泊まりをすると必ず牛乳を部屋まで運んでくれる。本当にありがたい。
「ありがとう、アベル!いつもいつも、本当にありがとね!」
「いえ、これくらいお嬢様に仕えるメイドとして当然の事ですし、客人をもてなす心に重きを置くように、とアキ様からも言われておりますので。……それではこれで失礼します。また何かありましたらお呼びください」
「うん、わかった!」
そう言ってまたアベルは下へと戻っていった。
アベルって本当にアキ様に弟子入りしてたんだ。……いつもどんなことしてるんだろ?
「アキ様……っていうと先程の緑髪の方ですよね」
「うん。アベルって真面目だから、ちゃんと私のメイドとして不甲斐ないように自分からアキに弟子入りしたんだって!」
「確かに、言われてみればアベル様らしいですわね。以前と比べて佇まいもだいぶ変わりましたし……」
「ローズ様はアベル様とプライベートのお話とかはされるんですか?」
「いや?あまりしないよ!アベルも割と多忙らしいからね」
「……だったら聞いてみない?アベルさんの色々!」
「アベルの色々を聞く?……どうやって?」
「それはもちろん……恋話だよ、恋話!」
「恋話って……リリー様がしたいだけでは……」
「まぁそうなんだけど……ほら、今ってお泊まり会……っていうか女子会じゃん!だからアベルさんも呼んでみたら?って思って!」
「でも確かにすごい楽しそうだね!そんな大した話は出来ないかもだけど……」
「ね?ローズもこう言ってるんだし、イリアもマイもいいでしょ?」
「ローズ様がそう言うのであれば私も……」
「そうでしたら……私も賛成ですわ」
「よし、それじゃあ決定ね!」
実は私は前世で一度も恋話も女子会もしたことがない。だから若干ちょっとテンション上がり気味だ。
普通女子同士の恋話ってテンション上がらない?
「よし、じゃあアベル呼んでくる!」
「うん!わかった!」
確かにアベルは多忙だ。まぁ多忙といっても、アベルが自主的に色々詰めすぎてるだけなんだけど。
だから多分私がお願いしたら普通に聞いてくれるはず。と思い私は下に降りて、アベルを探す。
「あ、いた。アベル~!」
「お嬢様?どうなされましたか?」
「最近色々頑張りすぎてると思ったからさ。ちょっと気分転換がてら私たちの女子会に付き合ってくれない?」
「女子会、ですか……いいのですか?私がいても」
「全然いいよ!ていうかアベルを誘いたいって言ったのはリリーだし」
「そうですか……。わかりました、すぐに行くので少々お待ちください」
「うん、待ってるね!」
よし、何とかアベルは誘えた。にしても……やっぱりこうやってアベルやマイ、イリアのようなゲームのほうで笑わないキャラが笑ってくれるとすごいほっこりするな。本当に頑張ってきた甲斐があった。
少しルンルンした気分で私は部屋に戻る。
「アベルはもう少ししたらくるって!」
「わかりました!それにしてもローズ様、何か嬉しいことでもあったんですか?」
「んー……こうやってアベルや皆といっぱい話せるのが嬉しいなって」
「そっか!それは私もすごい嬉しいよ!」
「皆様、お待たせいたしました。」
そんな感じで話していたら、アベルが来た。本当にすぐだった。
「よーし!それじゃあ本格的な女子会を始めよっか!」
「ところで女子会とは一体?」
「そのまま女子皆で集まって、恋愛の話とかそれ以外にもいろいろ雑談したりとかするんだよ!」
「ローズ様の事やほかのみんなの知らないところを知れたりして、意外と面白いんです!」
「ちょっとアベルのプライベートの話とか聞きたくなったからさ。ほら、あまりそういう話ってしないでしょ?」
「そうですね。お嬢様もお聞きになられませんし、私も自分から言ってたりはしないので」
「だからもっとアベル様の事が知りたくなったんです」
「それに、アベルにももっとみんなと仲良くなってもらいたいし!」
「私はそんな面白い話はできませんが……折角皆様が誘ってくれましたので、私も精一杯楽しませてもらいます」
「うんうん!そうこなくっちゃ!」
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