第28話 悪役令嬢の家でお泊まり会

「ね!みんなでお泊り会しようよ!私の家でさ!」

「お泊り会……いいですね!楽しそうです!それに皆で、といのは初めてですし!」


リリーとのデートから一ヶ月が経過し、私達はものすごい仲良くなった。そしてふと急に皆でお泊り会……というか女子会がしたくなったので、私は休みの時間にそう提案する。もちろん用意はできているとも。


「私もさんせーい!何気にローズの家って一回も行ったことないし!」

「ここ数ヶ月はできていませんでしたものね!私も賛成ですわ!」

「それじゃあ決まりねー!みんないつ空いてる?」

「私はいつでも空いていますわ!」

「同じく私もいつでもー!」

「私もです!というか、ローズ様の為であれば必ず空けます!」

「そこまでしなくてもいいよ、マイ。よし、それじゃあ今週末で!」


それからあっという間に時間は過ぎていって、約束の土曜日の夜。この数日で私はアベルと一緒にお泊まりの準備をしていた。シーツや毛布も洗い直して、ご飯の材料も調達した。私の部屋にはベッドはひとつしかない。けど、その代わりベッドがとてつもなく大きい。


「お嬢様、皆様が来ましたよ」

「ありがとうアベル!それじゃあ迎えに行ってくるね!」


私は走って玄関まで行き、皆を迎えに行く。


「やっほー、みんな!」

「こんばんは、ローズ様!」

「こんばんは、ローズ」

「ローズ、こんばんはー!今日はよろしくね!」

「うん!よろしくね!それじゃあ、早速私の部屋まで行こっか!」


皆を連れて、私の部屋まで歩いていく。その途中で、私は声をかけられる。そして振り向くと、そこには緑髪の中性的な顔立ちをしたメイドがいた。


「お久しぶりですね、お嬢様。……あら?そちらにいらっしゃるのはご学友でしょうか?」

「あれ、アキじゃん!久しぶりだね!……そういえばアキはイリア以外は知らないんだっけ?」

「お久しぶりです、アキ様」

「お久しぶりですイリア様。相変わらず元気そうでなによりです」


何をしてるか分からないけど普段アキ様は屋敷にいないので、こうやって会える方がレア。たしか以前イリアと一緒に泊まった時に会ったくらいかな?言ってそれも3ヶ月前とかだし……


「あ、自己紹介が遅くなってしまいましたね。私はアキ・スマーティア。このコフィール邸のメイド長をしております。どうぞ、以後お見知り置きを」

「初めまして、アキ様。私はマイ・サヴェリスです!」

「私は、リリー・クレスアドルと申しますわ。どうぞ、以後お見知り置きを」

「そういえば、アキは何してたの?」

「たまには休んだ方がいい、と奥様から休暇をいただいてましたのでゆっくりしてました」

「そっか!折角の休みなんだから、ゆっくり休んでね!」

「はい、ありがとうございます」


と、アキ様とのやり取りを済ませて私の部屋へと辿り着いた。……いやぁ、久しぶりに見たけどやっぱり見た目が強すぎるんだよね、アキ様。

まぁ……イリアにもリリーにもマイにも言えることなんだけど。


「さ、ここが私の部屋だよ!荷物とかは適当なとこに置いていいからね!」

「うん!ありがとう!」

「やっぱりいつ見ても可愛いですね、ローズ様の部屋は」

「……あれ?そういえばこのスライムのぬいぐるみ、いつの間に?」

「あ!飾ってくれてるんだ!凄い嬉しいな!」

「うん!だって凄い可愛いもん!」

「このスライムのぬいぐるみは……確か先月ローズ様が言っていたアダリエの奴ですよね」

「うん!リリーに貰ったんだ!」

「私もあの猫のぬいぐるみはちゃんと家に飾ってるよ!」

「そっか!ありがとう!」

「む……ちょっと二人だけずるいですわ……」

「今度の夏祭りはみんなで行こうね!イリアとマイにもちゃんと何かあげるから」

「でしたらいいですわ!」

「ほんとですか!?ありがとうございます!」


……ちょっといじけてる?というか嫉妬してるイリア、すごい可愛いな。マイもちょっと目を輝かせて可愛い。とにかくみんな可愛いな。


「ローズ!もう少しでご飯できるから手伝ってくれるかしら?」

「はい、わかりましたお母様!」


お母様にそう呼ばれて、私はそう返す。他のみんなはそう言ってるからラフだけど流石にお母様お父様は敬語にしている。


「私達も手伝いますよ。折角のお泊まり会なんですし!」

「そっか!ありがとう!きっとお母様も喜ぶよ!」


私達はみんなで下に降りて、お母様の手伝いをする。


「あら!みんなも手伝ってくれるのね!」

「はい!」

「じゃあ……ちょっとお皿を運んでもらえないかしら?」

「わかりました!」

「ローズはそうね。みんなの分の水を用意してちょうだい」

「わかりました、お母様」

「……よし、これで完成ね。さぁ、夜ご飯にしましょう」


……あまりゲームではフォーカスを浴びてなかったのだが、こうやっぱ実際に数年過ごしてみるとお母様って本当にいい人なんだな。……確かゲームの方だと色々あって死んじゃうんじゃなかったっけ。これもルートを変えた影響なのかな


「うわぁ、凄い!全部美味しそうですわ!」

「今日は折角皆が来てくれるんだもの。だからちょっと張りきっちゃったわ」

「ありがとうございますお母様!」


と言った感じでなんだかんだ楽しくご飯を食べ終えた。ご飯中、お母様は「私は学校で上手くやれてる?」とか色々聞いてた。

……それに関して本当に今更だが、一個思ったことがある。これあれだよね?お母様って言うよりただのお母さんじゃん!私の前世のお母さんもこんな感じだった!……まぁ、ご飯はやっぱりすごい美味しかったし、多少は気が楽になったから全然ありがたいんだけど……

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