第22話 悪役令嬢達のダンジョン試験
雨がやんでる間に各々帰れたみたいで、誰も風邪をひいたりしなかった。そしてそれから更に三日間ほど、私はイリアから雷魔法を教わり、イリアに炎魔法、マイに水魔法を教えていた。そんなある日のこと、ノープ先生はいきなり私達に告げる。
「今日から皆さんにはぁ、ダンジョン試験をしてもらいまぁす。」
「ダンジョン試験……ですか」
「はぁい、皆さんにはこれからこの学校の近くにある魔巣のダンジョンを攻略してもらいまぁす。」
「魔巣のダンジョンか……」
魔巣のダンジョンは、この学校からほんとに少し離れたところにあるダンジョンで攻略難易度は比較的優しめだ。本来ならばリリーよりも先にローズ様が進んでおり、この洞窟の最奥……貢の空間で初めてローズ様とリリーが戦ってローズ様が勝つんだけど……まぁ今はゆるりと平和にね。
「魔巣のダンジョンという事は、魔物がいっぱい出てくるのでしょうか?」
「でしたら、この三日間でローズに教えてもらった炎魔法を試す時ですわ!」
「はい!私もローズ様から教わった水魔法を試してみたいです!」
イリアは制服に隠して気づかれないようにネックレスをつけてきており、マイもポケットに指輪を入れているみたいだ。私は基礎魔法は全て使えるので、収納魔法で異空間に指輪を入れている。そしてちゃんと私達みんな頭に桜のヘアピンをつけている。
最初見た時はまた理性が飛びそうになったね。みんな美しすぎるから……特にリリー。もちろんローズ様の体なのだから私ももの凄い美しかった。自分で言うのもちょっとあれだけど。
「期限は明日の朝まで。ダンジョンの最下層にあるとされている魔具の剣を持ってこれたら満点としまぁす。……あ、ごめんなさい。肝心なことを忘れてましたぁ。ダンジョンに行くための班がまだだったので……今作っちゃいましょうかぁ!」
自由に四人班を作れ、との事だったのでもちろん私、マイ、イリア、リリーの班になり、リリーが班長となった。……リリーは、このゲームの主人公ポジションなわけで、もちろん運営から手を施されてる。リリーは群を抜いて異常な特異体質の持ち主で、全ての剣の超適正を得られるという最強と言わざるを得ない能力がある。そしてこのダンジョンの奥には本当に剣がある。そしてその剣を持って帰った場合、原則として班長のものとなる。なので私はリリーを班長に推薦し、リリーが班長となった。
「危なくなったら直ぐに引き返して、知らせてくださぁい。洞窟の入口に連絡網を置いておきまぁす。それだけ守ってくれたら十分でぇす。それでは……ダンジョン試験、初め!」
「……やっぱりかぁ。」
このダンジョン試験、ダンジョンの内容に比べて実は一番難しいとネットで言われている。
何故ならそれは……このダンジョン試験は、そもそもにダンジョンを見つけるところから始めなければいけないからだ。近くにある、とノープ先生は言っていたが、どこにあるかは明言されてないし、一度学校を出たら試験を終えるまで入る事は出来ない。私も、攻略動画を見ながらじゃないと辿り着けなかった。
確か紗蘭は自分で見つけたんだっけ。最初すごいなぁって思ってた覚えがあるな。
「……え?あの、ダンジョンはどこに……」
「私、知ってるよ。以前森で迷った時に見つけた事があるの」
「おぉ!それは凄いですわね!それでは、他の人達に先を越される前に早く行きましょう!」
「うん!みんなで一緒に満点を取ろう!」
リリーに導かれるまま私達は、暗魔の森を歩いて魔巣のダンジョンへと向かった。それから歩いて五分ほどした頃。
「もう少しで着くよ!何があるか分からないから気をつけて!」
「はい!わかりました!」
「了解ですわ!」
「うん!」
マイはポッケから水の指輪を出して、左手の薬指にはめる。私も、収納していた魔法陣から雷の指輪を取りだして左手の人差し指にはめる。
道中に出てくる魔族はスライムにゴブリンに骸という骸骨の騎士だけなんだけど……問題は最奥を守護する魔族を生み出している龍だ。まぁ多分勝てないことは無いんだろうけど……どれほどに強いのか。なんだかんだ言ってもう4年も前の事だから所々曖昧になってるんだよね……
「さぁ着いた。……よし、突入するよ!」
「はい!いつでも準備は出来てます!」
「いきなり魔族のお出迎えのようですわね……それでは早速、試させて頂きますわ!……炎よ!焼き払え!」
私達はダンジョンに着いたので突入する。早速、ゴブリンが三体私達の前に立ちはだかった。
するとイリアは、手を天に掲げ詠唱をする。すると、イリアの胸のネックレスが赤く光り、イリアの手から三つの火球が現れ、三体のゴブリンを焼き尽くす。
……おぉ!さすがイリア!もう炎魔法をものにしてる!
「凄いよイリア!もう完璧に炎魔法を使いこなせてるよ!」
「ありがとうございますローズ!私、家の方でもちょっと練習してたんですの!」
「にしてもいきなり三体ですか……やっぱり多いですね……」
「でもこの程度だったら全然問題は無いですわね!」
「さ、早く奥まで進んじゃおっか!」
「はい!」
次に私達の前に出てきたのは四体のスライム。
「きゃっ!スライム……!」
「任せてくださいローズ様!ここは私が!……水よ!薙ぎ払え!」
今度はマイが魔法を行使する。マイの指輪が青く光り、黒い水が出てくる。黒い水は円を描き、四体のスライムを切り裂いた。実は、マイの魔法は本当にうっすらと闇魔法が混ざっており、その闇の魔力の塊がマイの目元の黒い雫の痣で、だからこそマイの魔法は全部黒く染まっており他の人よりも威力が高い。
……にしても、まさかあんな応用をするなんて。
魔法にはそれぞれ色んな応用の仕方がある。私で例えると水槍や水の剣、鎌鼬などがそう。だけどそれは、ちゃんと詠唱として成立しているから出来ることで、独自の詠唱で行使すると威力が弱まったりそもそもに撃てなかったりと魔法として成立しないことが大半なんだけど……まさか独自の詠唱で行使してしかも成功させるなんて。
「凄い!凄いよマイ!独自の詠唱で成功させるなんて!」
「えへへ……ローズ様に褒められたくて私もいっぱい頑張りましたから!」
「やっぱりマイもイリアもローズも凄いね。私も頑張らなくっちゃ。よし、この調子で進んでこっか!」
「はい!」
「ええ!」
「うん!」
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