第20話 悪役令嬢達はショッピングデートをする その四

次に行く前に、私達はお昼を取る事にした。

このゲームはとことんリアル要素が詰められているので、もちろんショッピングモールにフードコートもついている。

普段あまり気にしてなかったけど、こうして転生してみると中々に世界観ぐちゃぐちゃなんだな、このゲームって……

まぁそもそもに転生してる私が異常なんだけど……。

割と冗談抜きでただのフードコートで、ラーメンやオムライス、カレーうどん等世界観はどうしたって感じの物がいっぱいある。……けどまぁ私はその方が好きだな。前世の名残もあるし。……家では普通に高級な肉とかだけど。

でも、実はローズ様は大好物がある。そしてそれは私と同じもの。そう、それは……


「初めて来たけど……凄い色々美味しそうですわね!」

「ええ!どれも初めて食べるものばっかりですわ!こんなものをずっと食べてきたなんて……少し平民の皆様が羨ましく思えてきますわ」

「そういえばローズ様はもう何を食べるか決められましたか?」

「私はこのオムライスにしようかな!」


……オムライスである。あのふわっふわな卵にとても美味しいケチャップライスが物凄い美味しいの!いやぁ懐かしいなぁ……紗蘭にオムライス作ってもらったなぁ……すごい懐かしいな……


「オムライス……?」

「うん、以前食べたことがあるんだけどね、それ以降ずーっとオムライスの虜になっちゃって!もうものすごーい美味しいの!」

「ローズ様がそこまで言うなら……私もオムライスにします!」

「私は……このカツ丼?って奴にしますわ!」

「私はえっと……ラーメンにしますわ!」


私とマイがオムライス、イリアがカツ丼、リリーがラーメンを注文した。この世界のオムライスってどんな味がするんだろう……確か一番いい物だと危険生物の一つである伝説のイノシシ、ラテスの肉が使われてるんだとか。

食べて見た事がないから分からないけど……でもこれは断言出来る。オムライスはなんでも美味しい!

……と、オムライスを売ってる店に行き、番号札を受け取る。すると、すぐに呼ばれた。


「あれ、もう呼ばれてる……取ってくるね!」

「ええ、気をつけて。」

「私も行ってきます!」


マイと一緒に取りに行く。店の近くに行くと、私のよく知る食欲を煽る匂いが鼻を包み込んだ。……うんうん、これこれ!オムライスと言えばこの匂いだよ!このとても美味しそうな匂い!……私とマイはすぐにオムライスを受け取って席に戻っていた。


「おぉ!それがオムライスですか!とても美味しそうですわね!」

「そうなの!とっても美味しいの!」

「おぉ!ってあ、呼ばれましたわ!」

「私も呼ばれましたわ!ちょっと取ってきますわね!」

「うん!気をつけてね!」

「そういえばローズ様は、このオムライス?というものを以前食べた事があるんですか?」

「うん!食べた事あるよ。このオムライス、とっても美味しいんだよ!本当にほっぺが落ちちゃうくらい!」

「そうなんですか!それは楽しみです!」


と、マイと話してたらイリアとリリーがすぐ戻ってきた。

うーん、やっぱりラーメンもカツ丼もすごいいい匂い!


「さぁ、それじゃあいただきましょう!」

「うん!私もうすごいお腹ペコペコだよ!」

「とてもいい匂いですわね!」

「久しぶりのラーメン……」

「……いただきます!」


この世界でもリアルとの習わしは一緒なので、みんなで手を合わせて食べる。

私はすぐさまスプーンでオムライスをすくい、口に運んでいた。な、な、何これ……!?


「お、美味っしいぃぃぃぃぃぃ♡」

「これが……オムライス……凄い、美味しいです!」


なんだろう、この言葉にし難いほどに美味しいオムライスは!

卵がすごいとろっとろで口の中に染み渡るように味が広がっていく!ケチャップライスもとても美味しい!前世で食べたどのオムライスよりも美味しい!本当にほっぺがとろけ落ちそう……!


「これがカツ丼……とっっても美味しいですわ!」

「ラーメン……美味しぃ♡」


イリアもリリーも凄い美味しそうに食べてる。……うんうん!やっぱりそうだよね!フードコート凄い美味しいよね!

にしてもやっぱりリリーって本当紗蘭に似てるよね。紗蘭も凄いラーメン好きだって言ってたし……


「こんな美味しいもの、久しぶりに食べた気がしますわ!家で出されるものは最近少し飽きてきましたもの」

「また今度みんなで一緒に料理しようよ!私、レシピなら色々知ってるよ!」

「それ、凄い楽しそうですわ!私、料理は初めてですけれど……折角やるなら精一杯頑張りますわ!」

「料理……久しぶりですわ」

「流石ですローズ様!料理が得意なのですね!」


……まぁ前世で沢山紗蘭と料理の勉強してたからね。

だから私が紗蘭に料理を振る舞ったり、逆に紗蘭が私に振る舞ってくれたりを繰り返してたからある程度料理は自信ある。

紗蘭にも美味しいって言って貰えてたし。


「……あ」

「ローズったら、もう食べ終えてしまったのですね」

「えへへ……美味しすぎてつい」

「オムライスを食べてる時のローズ様、凄い目をキラキラさせてとても可愛かったです!」

「マイ様の言う通りですわ。凄い子供みたいで可愛かったですもの」

「私って本当にオムライスとデザートに目が無いんだよね……」

「ローズ様の気持ちはすごいわかる気がします!だってオムライス、こんなにも美味しいですもん!」

「でしょ!本当に言葉にするの難しいくらい美味しいの!……でも、カツ丼やラーメンも凄い美味しいけどね」

「まさかこんなに美味しいなんて思いませんでしたわ!……あっという間に食べきってしまいましたもの!」

「本当に、一度食べたら手が止まりませんわ!」


私にとっては久しぶりの、みんなにとっては初めてのフードコート。とても美味しくて、本当にあっという間に……およそ10分ほどで食べ終えてしまった。


「さ、それじゃあ返してこよっか。ついてきて。」


と、私達はトレイを返しに行く。……まさか、こんな所までリアルそっくりだとは思わなかった。

……あれ?雨降ってきてない?

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