第19話 悪役令嬢達はショッピングデートをするその三
「あ、いましたわ!ちょっとローズ、どこに行ってたんです……って、その目……どうしたんですの?凄い腫れてますわよ」
「えーと……話したら長くなるんだけどね……」
私はイリアにもさっきあったこと全てを話した。
「……大体こんな感じ。」
「……本当にごめんなさい、ローズ。私が外で待っていて欲しい、なんて言ってしまったから……」
「あ、謝らないでよ!イリアは何も悪くないよ!私の為に一生懸命ネックレスを探してくれてたんだよね。」
「ローズは何が渡されるか分からないドキドキ感が凄い好き……とアベルさんからお聞きになったのでつい……」
「え、アベルからそんなこと聞いてたの?」
「はい、以前遊びに行った時に」
「……それでイリア様、ローズに渡す物は決まったんですの?」
「ええ!決まりましたわ!……これです!」
といい、イリアは白く輝くダイヤモンドのような魔晶石がはめ込まれている星型のネックレスを取り出す。
凄い……綺麗。全ての魔具に共通することだけど、効果なんてどうでもいいくらいにただただ美しい。
「……ありがとうイリア!すっごい綺麗だよ!」
「なら良かったです!実は、この前マイ様とローズはお星様みたいということを話してたんです。なのでこのお星様のネックレスも凄い似合うと思ったんですの!」
「私が……星?」
「はい、近くにいて、近くで見ることが出来るのにのにいつまで経っても届かない、永遠の憧れ。私達にとってローズ様はそんな存在なんです。それが、お星様みたいだなって思って」
「自分で言うのもなんだけど、私そんないいところないと思うよ?」
「そんなことありません!ローズ様にはいーっぱい良いところ、尊敬出来るところがあります!」
「えへへ……そっか、ありがとう!このネックレス、すっごい大事にするね!」
「ありがとうございます!私も、ローズから貰ったネックレスはずっと大事にしますわ!」
「……うん、まだまだ時間はあるね。よし、それじゃあショッピングを再開しよっか!」
「はい!」
それから私達は色んなところを回った。もちろん、何事も泣く。まず最初に指輪のお店。
「……魔力を増幅させる指輪……」
「あれ、どうしたの?リリー」
「ちょっとこの指輪、効果が希少な魔具でさ。魔力を増幅させるんだって。でも、私って魔法が苦手だから……凄い綺麗なんだけど、やっぱり折角魔具を買うなら効果も重視したいなって思って。」
「私はあまり有用性とかは気にしないタイプだから、そんな事考えたこと無かったよ。……まぁ、効果を重視するのも悪いことじゃないしむしろいい事なんだけど……すっごい綺麗だって思ったんなら、飾りとして買うのもいいんじゃない?飾り用なら効果なんて気にしないで済むし、魔力増幅が効果ならもし将来リリーが魔法得意になった時とかにも使えるでしょ?」
「……そうだね。ありがとう、ローズ。私、これにする。」
「うん、どういたしまして。……折角なら私も何か買おうかな。」
「いいんじゃない?ここ、良いものしかないし」
「本当だよね。全部綺麗だからどれにするか迷っちゃう!」
「……ん?見てローズ。この指輪の魔晶石、あなたに向けて強く光ってない?」
「あれ、本当だ!まさかこんなところで適正具を見つけれるなんて……!」
リリーが言ったように、台座に置かれていた私にだけより強く光る、黄色いトパーズのような魔晶石が埋め込まれている指輪があった。魔具にはそれぞれ不適正、適正、超適正がある。適正は本来の効果通り……つまり何も変わりなく魔具の効果を得ることができる。不適正は本来よりも得られる効果が少なくなる。そして超適正は、本来よりも得られる効果が大きくなる。さっきリリーが買った魔力増幅で例えると、適正は本来の魔力量より2倍、不適正は1,5倍、超適正は3倍になる。また、イリアのネックレスのような属性に関するものだと適正で火属性付与、超適正で火属性付与に加え火属性耐性……要するに自らの魔法が火属性に対してより強くなる効力を得られるのだが、不適正だと逆に自分の魔法が火属性に対して弱くなってしまう。それが例え水属性の魔法だったとしても、火属性の普通詠唱で押し切られてしまうほど。そして超適正の魔具……通称適正具は、適正者に強く光る性質を持つ。もちろんその反対で不適正具は不適正者には全く光らない性質を持つ。私の適正具の効果は雷属性付与だった。
「しかも雷魔法だし……ローズ、これで四属性目でしょ?嫌だな。万が一戦うことになったら勝てないじゃん」
「大丈夫だよ、私もあまりリリーとは戦いたくないし、その万が一が来たらこの指輪はつけないから」
……にしてもまぁ滅多にない雷魔法付与の魔具なだけあって今ある金の半分はするか。……またどっかで魔獣とか狩るか。
「すいません、これください」
「おぉっ、ついにそれを買う人が来るとは……っておや?あなた、超適正じゃないですか!超適正って事ならしょうがないですね……特別に半額にしましょう!」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「ありがとうございました、是非またいらしてくださいね。」
……やった。まさか半額で済ませれるなんて……!
でもそういえば雷魔法か。イリアに聞きたいけど……あ、そうだ。私もイリアに火属性の魔法を教えればいいんだ!
「あれ、どうしたの?イリア」
イリアは特に迷う様子もなくずっと歩いてるだけだったので少し疑問に思ってイリアに聞く。
「私、実は指輪の方はある程度は家にあるんです。ですから見るだけで十分と思いまして。……それにアクセサリーなら、先程ローズに世界一綺麗なものを勧めてもらいましたから。」
「そっか、ありがとう!……あ、そうだ!そういえばさ、イリアにお願いがあるの!」
「お願い、ですか?」
「うん!私に雷属性の魔法を教えて欲しいの!もちろん、私も火属性の魔法を教えるから!」
「ローズに……私が……私が……ローズに……。もちろんいいですわ!でもどうして急に雷魔法を……?」
「実はね……さっきここで超適正の指輪を見つけたんだ。そしてそれが雷属性付与だったから、せっかくなら是非教えて貰いたいなって思って!」
「おぉ!適正具を見つけたんですのね!ローズと同じ魔法が使えるなんて……幸せですわ!」
「ありがとう、イリア!助かるよ!……ところで、マイは?」
「マイ様ならまだ指輪を見てると思うので近くにいると思いますわ」
「そっか。けど……ここもすごい広いからなぁ。」
「あ、いた!ローズ様!」
噂をすればなんとやら、こちらが探すまでもなくすぐにマイが見つかった。
「マイはもう何か買ったの?」
「はい!私は指輪を買いました!この魔晶石、ローズ様の瞳みたいでとても美しくて……」
「凄い似合ってるよ、マイ!それにしても……私の目、そんな綺麗かな……?……あ、マイは水属性付与なんだ!」
「ローズ様からそう言って貰えて私嬉しいです!それとはい!なのでもし良ければローズ様、水魔法を教えて貰えないでしょうか!」
「全然いいよ!上手く教えれるか分からないけどね」
「ありがとうございます!私、精一杯頑張ります!」
「あ、リリーも来たね。それじゃあ次のとこ行こっか」
「はい!」
……って感じで私達は指輪のお店を後にした。
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