SSSランクの生徒


生徒会長の隣には、多くの革ベルトで身柄を拘束された生徒が歩いてくる。

足元には辛うじてベルト固定はされておらず、自由に動くことが出来た。


「うお…なんだこの全身拘束されてる奴は…」


不死川命は驚き、その様に呟く。


「そして彼は…烏頭尾操臣、彼は思考性同調能力に優れるスペシャリストだ」


生徒会長の言葉に彼は反応した。


「思考性…同調能力?」


それがどういう意味か生徒会長に聞く。


「催眠術があるだろう、簡単に言ってしまえば、言葉で生物を操る事が出来る暗示を使う」


その言葉は彼にとっては到底理解出来ないものだった。


「はあ!?催眠術なんてもん、有り得るワケねぇだろ!!」


近くにいた阿久刀壱心は心の内で呟く。


「(殺人鬼の家系であるキミが言うんだね)」


生徒会長は不死川命に説明をした。


「そうだ、同時に烏頭尾操臣はその能力を悪用し、犯罪を犯した、彼の才能を買って学園にスカウトしたそうだが…」


この拘束された生徒は、かなり危険人物だった。


「おい…そんな奴がなんでこんな学園に居るんだよ」


彼の疑問も尤もだった。

答えようとして、言葉を濁す。


「…(学園長の『表裏統一計画』は、言わない方が良いだろう)」


そして別の情報を彼に伝えた。


「彼の才能を見込んだらしくてね…彼の能力を技術として使えないかと思い、転入させたみたいだ」


不死川命はそれでも懐疑的だった。


「…こんな危ない奴を連れていくのかよ」


明らかな危険人物だ。

それでも、今回の探索隊では必要な人材だった。


「あぁ、しかし、安心して欲しい、彼の能力は自分よりも頭の弱い人間にしか効かない、だからか、知能が低い動物しか暗示が効かない」


序でに追加情報を言う。


「因みに彼は馬鹿だ、彼より頭が悪い人間は居ないだろう…それでも、拘束しなければ危険と判断されている」


それでも。

危険である事には代わり無いが…。


「一応は彼と取引をしている、今回のダンジョン探索を終えた場合、拘束を解く事を条件に、チームメンバーの命令は絶対順守する」


生徒会長はそう言うのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る