不死川命の勧誘

生徒会長の説明を受けた不死川命はあり得ないと言った具合に目を細めていた。


「…そんな話、信じられるわけないだろ?」


彼の反応は至極当然の事だった。

生徒会長もまた、同じ様な反応だった為に、彼の言動には共感出来るものがある。


「ボクもその様な反応でね、物集女部長は八百万学園に関する伝承も多く研究している、訝し気に思うのなら、彼女に聞いてみると良い」


物集女部長に視線を送る生徒会長。

彼の視線に気が付いた彼女は色気を放ちながら答える。


「あら、歴史に興味があるのかしら、オカルト研究部に来れば、好きなだけ教えてあげるわ、なんなら今でも良いけれど、と言うかそうでもしないと時間が惜しいわ」


三日三晩、精神を搾り取られそうな台詞だ。

胸を強調する様なポーズをしている彼女に嫌悪感を抱きながら首を左右に振った。


「話が長くなりそうだから、良い…それで、その話が本当なら…もっと警備を強めた方が良いんじゃないのか?結界って奴も、確実と言う訳じゃないんだろう?」


物集女部長が提案したのはあくまでも低級の化け物が学園に入ってこない為の処置だ。

低級と言うことは、それ以上の化け物も出てくる可能性がある。

その事は生徒会長も理解出来る、同時に彼は不死川命の台詞から意図と心意を汲んだ。


「(やはり…彼の中では残留を望んでいるのか…だけど、それだと困る)」


何とか不死川命には捜索隊に加入してもらいたかった。

何故ならば、彼が捜索隊に加入することで、部隊全体の生存確率が上昇する為だからだ。

捜索隊には生きて帰って貰う必要がある。

生存率を上げるには彼の協力が必要不可欠だった。


生徒会長の思想に関して、不死川命は目を細めて嫌そうな顔をした。


「…悪いが、あんたの考えには乗らない、俺を見て、嫌な事を考えているな」


視線から考えを察せられた。

彼には探りが通用しないと生徒会長は思った。


「…いや、すまない、不快だったのならば謝ろう、…そうか、キミには探り探りは分が悪そうだ」


一呼吸。

そして生徒会長は改めて不死川命を見た。


「単刀直入に言おう、キミには、捜索隊に参加して欲しい」


真正面から彼は願った。

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