勧誘
不死川命は生徒会長の顔を見る。
名前を呼ばれた事で、彼は歩き出す。
その際に、柊麗は彼の腕から離れた。
出来る事ならば、ずっと腕にしがみついて居たかったのだろうが。
彼の腕の微かな動きから、邪魔である事を理解してしまった。
だから、彼に嫌われたくないから、思わず手を離してしまったのだ。
不死川命は歩き出す。
その歩みは、他の生徒たちは止める事が出来ない。
彼の動きに合わせて、生徒たちは避けていく。
彼だけが、磁石の反発している様に、周囲の人間は離れて行った。
そして、階段を昇って不死川命は教壇へと立った。
不死川命の視線と、百千万億生徒会長の視線が重なりあう。
どちらも、その顔を見て、何かを思い詰めている。
「(生徒会長が俺に一体、何の用だ?)」
当然の疑問を思い浮かべる不死川命。
「(彼の場合、どう説き伏せば良いだろうか…)」
百千万億生徒会長は、不死川命を捜索隊の一員に選ぶ気でいた。
だが、結局の所、その捜索隊に参加は自主性を重んじる。
強制で入れた所で、モチベーションは下がるだろうし、それに応じてパフォーマンスも下がる事は明白だった。
だから、百千万億生徒会長は、出来る事ならば、不死川命には自主的に参加して欲しいと考えている。
当然、自らの命を賭す様な行動に手を挙げる事は無いだろう。
だからこそ…百千万億生徒会長の腕の鳴る所だった。
如何に弁舌を以て相手のやる気を引き出すか、それが重要である。
「…まあ、先ずは、椅子にでも座りたまえ」
視線を文違書記に向けると、彼女はその視線に気が付くと共にパイプ椅子を用意する。
だが、不死川命はそれに座る事は無かった。
「生徒会長、俺は用件だけを聞く、それと…今、どんな状況かが知りたいんだ」
不死川命は、まだ此処が迷宮の中である事は知らない。
それを聞いた百千万億生徒会長は頷いた。
「(考える時間が増える事は有り難い…この機会で、彼に参加して貰う事を覚悟させなければならない)」
百千万億生徒会長は、彼に快く情報を教える。
それを聞いた不死川命は、なまじ信じられないと言った様子だった。
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