第23話 別班との合流



ゴブリンジェネラルの三体が、剣を振り上げて襲いかかってくる。

さらに、ゴブリンメイジやゴブリンアーチャーもそれぞれで攻撃をしてくる


ゴブリンメイジの使う魔法はほとんどが火属性の攻撃魔法だが、守護騎士たちの盾がすべて防いでくれている。

またゴブリンアーチャーの撃ってくる矢や、ゴブリンジェネラルたちの剣での攻撃も守護騎士たちの盾が防いでくれるのだ。


わずか五人しかいない守護騎士だが、持っている騎士の全身が隠れるほどの大きな盾を巧みに使いゴブリンジェネラルたちから守ってくれている。


「……すごい」

「セシリア、連絡鳩を飛ばしたわ。

これでオルブランたちを、ここに呼び寄せることができるはずよ」

「分かったわ。

クマヤ、その武器はまだ使える?」

「弾を補充したから、いけるよー」

「ミズサワ、攻撃に参加できるカードはない?」

「あと持っているカードは、魔法カードとアイテムカードだけだよ。

しかも戦闘に使用できない」

「分かったわ。

コウサカ、攻撃に参加してくれる人物なんかを召喚できない?」


攻撃に参加する人物の召喚?

俺はステータスボードを出して確認するが、召喚魔法の説明に人物召喚をおこなうには情報が足らないので召喚できないとある。


「……ダメです。情報不足のために召喚できません」

「情報不足?」

「はい、この世界の強い人物の情報が足りません。

それに、過去の人物の情報もありませんし……」

「……分かった。

コウサカにはいずれ、歴史を勉強してもらう必要があるわね」

「それじゃあセシリア、みんながここに来るまでにあいつらを何とかしましょう!」

「了解!」


セシリア隊長とシャーリーさんは、ゴブリンジェネラルを無視してゴブリンアーチャーに向かって走り出した。

そして、熊谷さんに叫ぶ。


「クマヤ、ゴブリンメイジをお願い!」

「分かったわ!」


返事をしてすぐに、対物ライフルを構えてゴブリンメイジを狙う。

そして、魔法攻撃を守護騎士に向けて放つゴブリンメイジの顔面に、銃弾を撃ち込んだ!


大きな音とともに発射された銃弾は、熊谷さんのガンナーという職種の補正で百発百中の命中精度を誇っていた。

まるで吸い込まれるように、ゴブリンメイジの顔面に撃ち込まれ後頭部を爆発させた。


後方に吹き飛んだゴブリンメイジに驚いたゴブリンアーチャー、そこへセシリア隊長とシャーリーさんの二人が剣で襲いかかる。


すぐに弓を構えるも、セシリア隊長やシャーリーさんの方が早い!

構えた弓と一緒に、左腕を切り飛ばすセシリア隊長。

さらに、襲いかかったシャーリーさんがゴブリンアーチャーの首を撥ねる。


『ギャッ』

「シッ!」

「ハァッ!!」

『『『!!!』』』


ゴブリンメイジとゴブリンアーチャーを倒されると、ゴブリンジェネラルの三体が動揺する。

そこをチャンスと思った熊谷さんが、ゴブリンジェネラルの唯一鎧の無い顔面を狙って引き金を引く!


「今だ!」


大きな発砲音とともに、ゴブリンジェネラルの一体の顔が吹き飛び、ゆっくりとその場に倒れる。


『ブギャ?!』

『グルギャ?!』


剣を振り回して戦っていた、仲間のゴブリンジェネラルがその場に倒れる。

それに驚き、攻撃の手を緩めて周囲を確認するゴブリンジェネラルたち。


だが攻撃した者を見つける前に、熊谷さんが再び引き金を引き、大きな発砲音が響いた。

その音に気付くゴブリンジェネラルだったが、時すでに遅く、もう一体のゴブリンジェネラルの顔面が吹き飛んでしまう。


『グギャァ……』


隣で剣を振り回していた仲間のゴブリンジェネラルが、大きな音が響くと同時に倒れている。

膝がガタガタと震えている。

ゆっくりと、熊谷さんの方を見ると後ずさりをしてしまうゴブリンジェネラル。


「逃がさん!」


すでに、ゴブリンジェネラルに狙いを付けていた熊谷さんは、スコープに移る敵に対して引き金を引いた。

すると、大きな発砲音が響くと同時に、ゴブリンジェネラルが仰向けに後ろへ倒れる。


少しの地響きとともにジェネラルが地面に倒れると、戦闘は終了した。


「……良しっ!」

「セシリア、今度こそ洞窟内に捕まっている人たちを解放しないしと」

「そうね。

みんなは、ゴブリンたちの後始末をお願い!

私とシャーリーが、捕まっている人の開放と偵察をしてくるから!」


そう言うとセシリア隊長とシャーリーさんは、洞窟の中に入っていった。

ガッツポーズをした片山は、やれやれとゴブリンたちの後始末に参加する。


ゴブリンたちの後始末といっても、佐藤さんがゴブリンたちの死体を収納するだけなんだけど……。


「そういえば、水澤さん。

あの守護騎士の五人は、このまま出現させておくんですか?」

「片山君。私のカードは、一度使うと無くなってしまうらしい。

一日三枚しかドローできないからね。

使ったカードは、制限時間いっぱいまで出したままにしているんだ」

「なるほど……」

「それに、洞窟から敵が出てこないとも限らないからね……」

「確かに……」


今、洞窟から敵が出てきた場合、戦えるのは俺と熊谷さんだけだ。

佐藤さんと片山、それに武内さんは戦えないし、水澤さんの残りのカードは戦闘むきじゃないらしい。


そうなると……。

俺と熊谷さんで、敵の足止めをしないといけなくなる。

セシリア隊長とシャーリーさんが、オルブランさんたちに連絡してくれたらしいけど、ここまでどれくらいの時間で来れるのか……。


結局、危ない状況なのは変わらないんだよな……。

ならば、水澤さんの出した守護騎士が守ってくる時間があることを祈ろう。




「お」


セシリア隊長とシャーリーさんが洞窟に入っていって、十分ほど経過したとき、森の奥からオルブランさんが現れた。


「オルブランさん!」

「お~い。こっちだー!」


オルブランさんは、後方に向けて叫んだ。

おそらく、ゴブリン探索をしていた班の仲間に教えたのだろう。

その証拠に、オルブランさんのさらに後方から声が聞こえた。


「お~」

「こっちか~」


オルブランさんの班と合流ができた。

これで、洞窟の奥にいるゴブリンたちを何とか出来る、か?






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