小説を書くのが趣味な女のポヤポヤ日記

乃木のき

第1話 タイパと小説の相性ってどうなの?

小説を書くのを趣味にして早数十年……途中ブランクがあれど、気がつけば妄想しているのがデフォである。

もちろん読書も好きなので手元に本がないと落ち着かない性分。


そんなわたしが最近「面白い本になかなか出会わなくなったなあ」と思うようになった。

もちろん全部を読んでいるわけじゃないのでまだ出会えていないだけなんだけど。


最近の流れとしてはタイパ重視のため始まって数行で盛り上げて読ませないとその先を読んでもらえないというのはよく聞く。

確かに読み始めで「わ~面白い」と思えばその先もページをめくるし、いつまでたっても意味が分からないと「ちょっとごめんね」と本を閉じることもある。


でもそればかりだとちょっと疲れる……。


もっと深く浸食して来てほしい。

気づかないうちにその小説の世界観にどっぷりはまってて、現実から少し離れちゃうような不思議な感覚。

ハっと気がついたら時間がすごくたってて、今ここは本の世界なのか現実なのか一瞬迷うような不可思議な体験。

まるで雨の中に閉じ込められたみたいに静かで少しだけ怖くなる。

声を出してみて、あ、現実だったわとホッとするようなさみしいようなそんな読書をしばらくしていない。

読み終わった後も数日戻ってこられない。

深く潜り込んだままその世界がわたしにも染みてきて、多分細胞の一部になっちゃったんだろうな。


そんな本の読み方を前はしていた気がするんだけど。


本にコストパフォーマンスを考えてしまえば、そんな体験って必要ないのかもしれない。

ぱっと読んでぱっと離れて何も残らない。

どんな本だったっけ? と記憶にも残らない。

ただ、「読みました」というハンコが残るだけ。


もっとじんわり浸してほしい。

まるで自分もそこにいるみたいに。

あれはわたしが体験したことだったかなと勘違いするほど。


インパクトだけじゃない、わけがわかんないけど面白かったんだよねっていう作品に出会いたくて、今日も本を読むのである。


そして願わくば自分がそういう本を書いてみたい。

なんてね。

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