第3話 DAWN 3

 「今から、数年前に、アメリカは、DNAを転送することに成功しています。厳密には、DNAのデータを読み込み送信、受信された相手側で、そのデータをもとに復元するというものです。異次元を介さずに、転送をすることに成功しています。当時は、細菌レベルといったものでしたが、極秘に研究を続けていたようで、細菌レベルから、組織、器官、臓器といったレベルまでに達しているようです。」

「……。大陸での戦争において、救援物資は、C-17で送り届けるしか、現代ではその方法でしかありませんから。情報革命を引き起こしたDARPAなら……。」

 女性は、再び、目つきを鋭くさせた。

「しかし、それでは、人間そのもの物理的に複製できたとしても、精神までは複製できないのでは?」


「実は、精神転送というものがあります。」


 男性は、すかさず、返答をした。

 それに対し、女性は少し動揺を示した。

「まさか……、BMIは耳にしております。脳の電気信号を利用して、ロボットを操作したりするというそういう類のもの。日本でも、FEELTECHというものを研究している段階です。精神転送のレベルだと、脳の情報を全て、デジタル化し、コンピューター上にアップロードをするまでしなくてはならない。そんなことが、本当に可能だと?」

「可能性があります。アメリカは情報革命を起こした国です。日本とは違い、研究の量も質も段違いです。恐らく、防衛に携わる研究者達は、BMIの研究を進め実現をしようとするでしょう。そして、注目していただきたい箇所が……。」

 男性は、一旦、呼吸を整えると、報告書の内容のある部分を指した。


「GHQによる3R5D3S政策に基づいて研究を進める……。」


日本国民なら、誰もが知っているGHQ。この組織は、日本を裏から支配するため、多くの政策を行ったことは、言うまでもない。


「これが、どうかしたのかしら?」

「JAPAN INSURANCE Building(通称JIB)の件は、ご存じかと思いますが……。」


JIBは、かつてGHQの総括本部であった場所である。それは、東京に存在し、後に建設は、アメリカ人であるロイド・アークが携わったとされている。そして、それは日本のあるビルにも携わっていた。

「GHQがもといた場所ですね、それが何か?」

「私が、独自に調べたところ、その建築家は、GHQと繋がりがあることがわかっています。」

女性の目が鋭さを増した。そして、男性は、図面をタブレットの画面上に出した。


「これは……。」

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