第110話 暗殺組織との死闘
「セナ、ソーリア! そこを動くな! 奴らは俺がなんとかする!」
俺は二人を置いて迫りくる敵陣へと突進した。
特攻に近い戦法に、10名の
逆手に握った
「だが好都合だ――《
俺は右目の眼帯を外し魔眼の力を解放した。
「うっぐ……」
待ち構えていた
以前、俺と戦ったオルセア神聖国の最強
こいつらも
だが連中はソーリアのデバフ魔法と固有スキルにより
したがって
「――お前ら全員が盾となり、セナとソーリアを守れ!」
「は、はい……」
「……お任せください」
「愛しき貴方様のために……」
完全に魅了され惑わされる
原作のアルフレッドも女性ばかりじゃなく、こうした活用をすればまだ衰退は免れたかもしれないのにな……どうでもいい話か。
そして忠実な下僕となった10名の
「おい、貴様ら! 何をしている! 勝手な行動をするな!」
組織のボスであるミルズが必死で叫び指示を送るも、連中は聞く耳を持たない。
刹那
ドドドドドドドドドド――ッ!!!
同時に屍の鴉群が豪雨の如く上空から降り注ぐ形で強襲してきた。
だが俺の指示通り
予想以上に凄まじい威力だった。
盾となった
それでも重なり合う形で二人の盾となり、攻撃の軌道をずらして最後まで護りきった。
「バ、バカな!?」
「この位置、俺も危ない――『
俺は聖武器の鎧を展開させ、一瞬で
こう見ても異世界最高の強度を誇るオリハルコン製だ。
屍の嘴如きの攻撃など、かすり傷一つ負うことはない。
まるで意に介さず、
「ぐっ! アルフレッド、貴様ぁぁぁ!」
「ミルズ、お前の敗因は俺を以前のアルフレッドと比較しすぎたことだ。俺はお前が言うほど善人ってわけじゃない。人族だろうと悪には容赦しないし、利用できるモノはなんでも利用する。何せ、俺には主人公補正や
「補正? ガバ? 貴様、何を言っている!?」
「もうじき30メートル、俺の射程距離だ。そこに踏み込んだ瞬間、お前は倒される。後方に逃げても無駄だぞ。この重装甲状態でも
「……へ~え」
ミルズは動じず寧ろ薄ら笑みを浮かべている。
こいつ、まだ何か企んでいるのか?
その時、俺は足元に何かいることに気づく。
地面を這って素早く動く複数の物体……いや小動物だ。
それは腐敗が進んだ屍の鼠だった。
鼠の背中に何か筒のような物を背負わされている。
ちょこまかと動きながら俺の足元まで近づく、複数の鼠達。
ボウッ!
すると突如、背負っていた筒が爆発した。
さらに複数の鼠が足元からよじ登り、俺の胴体や頭部辺りで爆発を繰り返す。
思わぬ奇襲に俺はフルェイスの兜越しで顔を顰める。
「ぐっ、足止めか!? しかしこの程度でダメージなど負うものか!」
「違うな、それは貴様への攻撃ではない。全身をよく見ろ」
ミルズに促され、自分の身体に視野を向けた。
すると、爆発した箇所から奇妙な形をした小さな魔法陣が幾つも浮き出ている。
「こ、これは!?」
「――《
つまり俺の《
現に足元が地面にめり込み身動きが取れない。両腕は辛うじて動けるが……。
「その隙に逃げるつもりか? だがお前の顔は覚えたし、部下は全員死んだぞ。どちらにせよ、ハンス王子の暗殺は失敗だな」
「ああ、アルフレッド……貴様の言う通りだ。だからこそ、ここで決着をつける!」
ミルズは背中から隠し武器を取り出した。
それは一刀の奇妙な形をした
「聖武器を持つのは何も勇者だけじゃない……オルセアの『ラダの塔』のように、超難関をクリアすることで得られる聖武器も存在する」
「まさか、その剣も……?」
「そうだ、アルフレッド! 貴様の聖剣と鎧と同様の聖武器でありオリハルコン製だ! これが私の切り札だ! 今の貴様でも、その首を掻っ切ることぐらい容易にできるだろう――残り40秒!」
ミルズは身を屈め突進してくる。
奥の手である魔眼 《
どうやら魔法属性と同様、聖武器と呪術系魔道具は相性が悪いようだ。
「だが舐めるな! 動きを封じられても、近接戦闘で
俺は聖剣グランダーを抜き、迫りくるミルズに向けて斬りかかる。
だがミルズは素早く回避し、
「一流の剣士相手に
クソッ、両足が重くて振り返れない!
直感で聖剣を振るうも、あっさりと躱されてしまう。
「残り3秒――終わりだ、アルフレッド!」
やばい! と焦った瞬間。
「――《
それはほぼ同時だった。
俺の後頸部を斬ろうとした瞬間、ミルズの手から
「こ、これは……クソォ、セナか!?」
「アルフ様、今です!」
セナは遠い距離にいるにもかかわらず、その手にはミルズの
なるほど……セナの固有スキル《
そして魔法効果が切れた。
「サンキュ、セナ! 終わりだ、ミルズ――《
俺はスキルを発動し、周囲を超スロー状態にした。
ミルズは焦った面持ちで逃げようとしているも、非常にゆっくりのためどこか間抜けな表情となっている。
「……ふぅ。こいつ、今までの敵の中で一番手こずった相手かもしれない。あのローグよりもな……実力派のゼルネスとは違う、頭脳派の
俺は感想を漏らしつつ、聖剣グランダーを鞘に収めた。
拳を強く握りしめ、ミルズの全身をボコ殴りにしてやる。
殺しはしない。
再起不能にして、ハンス王子に突き出してやる。
その方が何か有力な情報が得られるかもしれない。
まぁ搾取された後、極刑には違いないけどな。
「タイムアップだ」
「ぶほぉぉぉぉぉぉ――!!!?」
速度が戻り、ミルズは悲鳴を上げ吹き飛ばされて行く。
何度も地面に転がりながら壁に激突して、その場でぐったりと動かなくなった。
全身に凹凸痕が見られる。四肢があらぬ方向へと折れ曲がっていた。
「終わった……これでハンス王子の暗殺も阻止できたわけだ」
俺は『
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