第2話 ランドセル買ってほしかった。

ここからしばらく、私が子供の頃に物を買ってもらえなかったエピソードをご紹介していこうと思います!


まずは『ランドセルを買ってもらえなかった』というエピソードです。


私は小学校入学時にランドセルを買ってもらえませんでした。


私には2歳上の姉がいるのですが、母は姉のランドセルを私にお下がりさせたのです。


入学式、同級生の皆はもちろんピカピカの新品ランドセルを背負っています。


しかし私だけは、姉のお下がりのランドセル。


目立つ所に大きなキズがあるし、フタの内側に付属されていた時間割表は無くなっていました。


明らかにお古な私のランドセル。


さすがにランドセルまでお下がりを持たされていたのは私だけでした。


なぜ母は、まだ小3の姉のランドセルを私にお下がりさせたのか。


その理由は、母が登下校している小学生の子供達を見ていて“ランドセルを背負っている子があまりいない”という事に気が付いてしまったからです。


住んでいる地域にもよるかと思いますが、私が住んでいた地域は小3か小4辺りから徐々にランドセルを背負う子が減っていき、お好みのリュックサックを使う子が増えていく地域でした。


その事に気付いてしまった母は、“お姉ちゃんのランドセルはもうすぐ使わなくなってしまう。勿体ない!だったら妹(私)にこのランドセルを使わせよう!そうすれば

新しいランドセルを買わなくて済む!”と閃いてしまったのだそうです…。


流石は私の母。


物事を損得勘定でしかみていないのがよく分かります。


私の小学校入学を祝う気持ちなんぞ1ミクロも無いのが私の母なのです。


他の皆がピカピカのランドセルを背負っている中、私だけキズの付いた古いランドセルを背負っていても『可哀想』とは微塵も思わないのが私の母なのです…。


当時の母は自身の思い付きを『名案だ☆』と思っていたようで、私がいくら「新しいランドセルが欲しい」と言っても「ダメ!ランドセルならあるんだから!」の一点張りでした。


しかし私は、新しいランドセルを買ってくれなかった事の怨み節を母に何年も何年も、大人になっても言い続けました。


外出先のお店でランドセルが陳列されているのを見ると、すかさず「あ、ランドセルだ!」と言って新品ランドセルへの未練を母にアピールしていました。


その成果か、ここ最近になって母はようやく過去の自分に反省したらしく「新しいランドセルをちゃんと買ってあげれば良かった。ランドセルのCMをテレビで観る度に昔の事を思い出す。」と、とても暗~い表情で言ってきました。


今さら後悔しても、もう遅いんですけどね。


私は大人になった今でも、新品ランドセルを見ると心引かれ、ときめいてしまいます…。


切ない…。

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