たったひとつの冴えたささくれの治しかた
水曜
第1話
春の風が心地よく吹き抜けるある日、小さな村に住む少女、美咲はささくれに悩まされていました。彼女はささくれのことを気に入らず、手を洗ったり、ハンドクリームを塗ったりしてもなかなか改善しませんでした。
美咲はそのささくれがなかなか治らないことに焦りを感じ、おばあさんに相談しました。おばあさんはにっこりと微笑みながら、美咲に言いました。「ささくれは物理的なものだけではなく、心の中にも原因があることがありますよ」
美咲は首をかしげながらも、おばあさんの話を聞くことにしました。おばあさんは美咲に、ささくれの原因は何かと問いました。美咲は考え込みましたが、次第に自分の心の中にある葛藤や不安が、実はささくれの元凶であることに気づきました。
彼女は自分の心の中にあるネガティブな感情や緊張を解き放つために、日記をつけることを決意しました。美咲は毎日の出来事や感じたことを丁寧に書き留め、心の中のささくれを取り除く手助けとしました。
すると、驚くべきことが起きました。美咲が日記をつけることで、彼女の心の中のささくれがなくなり、手のささくれも驚くほど早く治りました。おばあさんは微笑んで美咲に語りかけました。「時には心の整理も大切です。内面の平穏が外面にも良い影響を与えるのですよ」
美咲は感謝の気持ちでいっぱいになり、おばあさんの教えを胸に刻みました。それ以降、美咲は日記をつけることを習慣とし、心と体の健康を保つために、自分を大切にすることを学びました。
……そして、美咲は重い鈍器を振りかぶっておばあさんの後頭部にぶつけました。何度も何度も念入りに殴り続けました。
若い美咲は年老いたおばあさんを一人で面倒をみていたのです。いわゆるヤングケアラーです。他に身寄りはありません。誰の助けも借りることもできませんでした。満足に学校に行くこともできず、同年代の友人とも疎遠となり、ひたすら介護の重みがのしかかりました。
美咲の書いた日記にはおばあさんへの呪詛が永遠と綴られていました。けれど、もう大丈夫です。二度と美咲の手にささくれができることはありませんでした。
たったひとつの冴えたささくれの治しかた 水曜 @MARUDOKA
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