結婚後の憂鬱

@mia

第1話

 病院で受付を終え待合室のソファーに座る。

 バッグの中を探って初めて文庫本を入れ忘れたことに気がついた。時間つぶしの文庫本を読み終わったので入れ替えようと思ったのに、出すだけ出して入れ忘れていた。

 壁に貼ってあるポスターを見たりしているが時間がもたない。

 そんな時に前の方に座っているおばあさんたちの会話が聞こえてきた。嫁の愚痴と言うか悪口だった。

 一人のおばあさんが強烈だった。自分が不幸だから嫁にはささくれがいっぱいできてるに違いないと言い切っている。

 ささくれは親不孝と言われているから自分が病気がち(不幸)なのは嫁のせいらしい。なんかめちゃくちゃな言いがかり。

 ささくれは親不孝なんて迷信だろうし、もし本当だったとしても嫁にささくれができているのなら、嫁の両親が不幸でおばあさんは関係ないんじゃないか。息子にささくれができていないとおかしいだろう。

 要はそんなことはどうでもよくて嫁を悪く言いたいだけなのだろう。

 結婚した友人の中には姑に悩んでいる人も多い。

 義母は夫が大学生の時に病気で亡くなっているので、私には縁のない苦労だ。義父も三年前に亡くなっている。義兄と仲が悪く次に会うのは葬式だろうと夫が話していた。

 結婚相手に彼を選んだのは性格のよさだが、そういう家族関係だったことも一因だ。

 私の体調不良、胃の痛みはストレス性胃炎だそうだ。結婚して環境が変わったからかもしれないが、なんか申し訳なく思う。夫と二人暮らしで義実家に関するストレスはゼロなのに。

 強いて言えばストレスは夫が老けて見えるということだろうか。

 私三十歳、夫三十五歳という驚くことのない年齢差だが夫が老けて見えるらしく、後妻業とか言われたこともあった。後妻も何も私たちは初婚なのに。

 気にしなければいいと分かってはいるが、聞こえてくるとイライラする。

 高齢の夫と死別しバツ三となった友人がいる。

 彼女はこういうのをどうやり過ごしているのか聞いてみよう。

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