まかり間違っていたら危うく……。ライダースジャケットの悲劇
逢坂 純(おうさかあつし)
まかり間違っていたら……危うく。お洒落を考えた挙句の悲劇
デデーン!職員さんの服装、黒革のライダースジャケットじゃん!!
その職員さんは僕と同年代でした。感覚が僕と似てるんですね。僕もお洒落と言えば、ライダースジャケットでした。
「まかり間違う」という言葉があります。
言葉の意味を調べてみると「万が一、間違うと大変なことになる」という意味だそうです。
この話は、そんな「まかり間違った」ことにもしかしたらなっていたかも知れないという事態を寸でのところで回避したというお話です。
僕が通っていた作業所では、レクリエーションというイベントが毎月一回ありました。
作業所のレクリエーションというのは、単に楽しむことを目的としているだけではなく、
障害者の人が、社会生活に参加するという目的もあるようです。
そのレクリエーションの中で、ホテルレストランで会食があると言うお報せが入りました。
その会食の幹事の女性職員が、皆に言いました。
「皆さん、今回のホテルレストランはお洒落な場所なので、是非お洒落してきてくださいね」
僕は何を着て行こうかと、家に帰って早速、服装選びを始めました。季節は冬でした。
僕が選んだ服装は、高校の時、友達から買った黒革のライダースジャケットでした。
マトリックスかゲイかという趣のジャケットでした。(ライダーの人、マトリックスファンの人、ゲイの人、怒っていたら、ごめんなさい)
僕の世代はどうしてもライダースジャケットと言ったら、そのようなイメージで凝り固まってしまっているんですよね。
僕はこの洋服でホテルレストランの会食に行くことを母親に伝えて、服装を見せることにしました。すると母は言いました。
「あんた、それいつ買ったやつだん。高校の時に買ったやつだらー。やめときんそんなの」
僕はこのライダースジャケットをどうしても着ていきたいと思い、母に言って損したと思い、次に相談したのは、結婚して家を出ている姉でした。姉は僕に言いました。
「お洒落は足元からじゃない?」と。
そうか!と僕は考え直し、赤色のスニーカーの靴紐を買いに靴屋に行きました。そこで空色の靴紐を買って、そのスニーカーに合わせた服装を選んでレクリエーションに行くことにしました。
そして会食当日。職員さんは黒革のライダースジャケットを着てきました。もし、まかり間違って僕もライダースジャケットを着て行っていたら、危うくどんなあだ名が付けられていたか分からなかったでしょう。
「お洒落は足元から」
それ以降、僕はお洒落をする時には足元からということを心掛けています。
まかり間違っていたら危うく……。ライダースジャケットの悲劇 逢坂 純(おうさかあつし) @ousaka0808
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます