第28話 二度目の再会
翌日の朝。
ルルメリアはよほど楽しみだったのか私より早く起きて私を起こしにきた。
「おかーさん! あさだよ! おーさんとあそぶひだよ!!」
「うん……?」
娘の元気な声で強制的に布団から起こされた私は、眠い目をこすりながら朝ごはんを準備した。
「ふふっ」
ルルメリアはいつも以上に気分が上がっているようで、席に座ってからずっとニコニコしていた。その様子を見ているだけで幸せになれた。
食事を済ませると、お気に入りのワンピースを着ている。
「おかーさん、あたしこれきてくの! どう!?」
「うん、似合ってるよ」
「えへへ」
くるりと回って見せるルルメリア。やはり年頃の友達はこの子にとっても特別なようだ。
準備を済ませると、オースティン様と会う前にハンナちゃんとハンナちゃん母に会いにパン屋さんへ向かった。
「あっ! はんなちゃん!」
どうやら先に到着されていたようで、ルルメリアが見つけた瞬間すぐに駆け出した。
「るるちゃん!」
とても可愛らしい声が聞こえたかと思えば、ハンナちゃんが視界に映った。ハンナちゃんの様子を見てみると、彼女もまたルルメリアと会えるのを楽しみにしていたようだった。
そしてその奥にいるお母さんに視線が移る。
「あっ……!」
「あら、やっぱり!」
そこにいたのは、バザーでお世話になり、ピクニックでルルメリアの帽子を拾ってくれたお母さんだった。
「ごめんなさいね、私が名乗ってなかったから怪しくしちゃったわよね。ハンナの母、マギーです。よろしくね」
「マギーさん。私はルルメリアの
彼女とは不思議な縁があるようだ。改めて軽い挨拶を済ませる。
「すみません、お家に行くときいたのですがご迷惑ではないでしょうか」
「大丈夫よ! この前一緒にいたお母さん方の子どもも一緒なの」
「そうなんですね」
「えぇ。だから安心して」
他の子もいるのなら、幾分か申し訳なさは消えて心配も薄まる。
「ルルメリアのこと、お願いします。何時まで遊ぶか予定はありますか?」
「うちのハンナもだけど、皆楽しみにしてたみたいだから、せっかくならお昼を食べて、少し遊んでから解散にしようか思ってるの。そうね、時間で言うと二時くらいかしら」
お昼まで!? それはさすがに申し訳ないという気持ちが込み上げてくる。
「そんなによいのでしょうか……」
「いいのよ! 家の場所もあるから、子どもたちが集まって遊べるのは数少ない機会だから。もちろん、クロエさんさえ良ければなのだけど」
そう言われて、ルルメリアの方をチラリと見る。そこにはハンナちゃんと楽しそうにお喋りするルルメリアがいた。
「それでは午後二時頃、お迎えに行きます。それであの、こちらつまらないものなのですが」
「あら! いいのに」
そういうわけにはという表情をしながら、マギーさんに学校近くにあるお店の美味しいと評判のクッキーを渡した。
「では二時にお待ちしてるわね。それじゃ、家まで案内するわ」
「はい、お願いします」
こうしてルルメリアとハンナちゃんをそれぞれ呼ぶと、そのままマギーさん宅へと向かった。
場所はパン屋さんから少し離れており、歩いて三十分ほど経った距離だった。
「ハンナちゃん、ルルちゃん!」
そこには既に集まっていた子どもたちが、嬉しそうに二人を向かえてくれる。他のお母さん方とも改めて自己紹介をして、ご挨拶を済ませた。
送り出す時に、私はルルメリアの頭をなでて一言伝えた。
「ルル。楽しんできてね。でも、良い子にするのよ」
「うん! あたしいいこにできるよ!」
「そうだね」
「おかーさんもおーさんと楽しんできてね!」
「……うん」
それはあまり頷けるかは微妙なところだけど、せめてルルメリアの分までは楽しもうと思った。
ルルメリアに手を振り、マギーさんに一礼すると、私はオースティン様の来訪に備えて自宅へ戻るのだった。
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