5話 とても大事なことを忘れていた!
時刻は夕方。
忘れていたことが一つあったんだった。
これから僕は、学生寮から通うんだよね。
そのための登録をし忘れていたんだよ。
というわけで今から行かなくちゃなんだ。
そうしないと野宿だよ、最悪。
「はぁ、完全に忘れていた。今からでも寮の登録は間に合うんだろうか?」
普通は入学式前に入寮手続きを済ませておくのが基本らしい。
そんなの数日前まで、ニートだった僕には知ることができない情報だし、入寮手続きを事前に済ませておくことなんて無理なんじゃないか?
なんて思っていた時期がありました。
なんと鞄の中に入れていた、パンフレットに書いてありました。
おっとっと。
さて、そんなこんなを頭の中で議論していると―――
―――僕がこれから住むことになる学生寮(マンション)に着いた。
そのマンションは明らかに金が掛かっていますよ見たいな雰囲気を醸し出してきていた。
それに学生寮の入寮手続きの場所を何処か探そうと思う間もなく、恐らくだ。
恐らくなんだけど、学生寮を取りまとめる寮長が扉の前でもしかしなくても僕を待っているように見えた。
「――――見つけた。」
「ひっ......!」
標的を見つけた寮長は僕を見つけた瞬間に僕の首の根っこを捕まえていた。
「ぐっ...ぐるじぃ......ですよ。」
「私がなんでこんなことをしていると思う?」
寮長は僕が答えらるように力を緩める。
「けほっ...!......僕が入寮手続きが遅れたからですか?」
「んまぁそれもあるかな、でも一番は君が心配だったからかな。」
「それはどういう?」
「どうもこうもないでしょ。私は寮長なんだから、この学生寮に入るっていう新入生たちを管理しなきゃいけない立場なんだよ。そうしなきゃ寮長として仕事を果たせないからね。」
「それはそうですよねぇ。」
「それで、遅れた理由は何かな?」
寮長は立ち振る舞いを整えて僕にそう言った。
「えっと、ですね。忘れてましたっていたら怒りますか?」
「う~ん。そうか!そうか!忘れてちゃってたか~!」
「あははっ......」
僕の乾いた笑いが夕焼けのさらに消えていく。
寮長の周りの空気が震えたかのように思うと......
「バカなのか君は!!!」
「くぅ~ん......」
「犬の真似をしても無駄だから、いいそんなことが許されるのは中等部までなのよ!」
「僕中等部どころか、学校行ってないですけど?」
「なんでそこ誇らしげに言うのかなぁ......?」
「はぁ...まぁもう時間も遅いし、君は埒が明かなそうだし......君の名前は風槍院君だったよね。」
「はいそうです、寮長!」
びしっと敬礼しておく。
「何それ、煽ってるのかな。」
「いえ、寮長へのこれからの敬意と忠誠を誓っているのであります!」
「はいはい、わかったから。それと私は寮長だけど、名前あるからね。柊ニオっていうから覚えておいてね?」
寮長は自分の名前を言うときだけは、何だろう含みがあるけど、可愛いらしく言っていた。なんて、口が裂けても言えるわけがない。
「はい!柊ニオ寮長!!!」
「よろしい。」
「それじゃこれ、風槍院君の部屋の鍵ね。今日はもう遅いから早く寝なさい。」
「はい!ありがとうございました、柊寮長!」
「うん、それじゃあね。それと寮で問題ごとを起こさないようにね!」
「はい!了解しました!」
僕は敬礼を解いて、柊寮長から自分の部屋のカギを貰って、直ぐに自分の部屋へと移動した。
「408部屋、ここか。」
ガチャリと鍵をあけて、自分の部屋の扉を開けると......
なかなかに広い部屋が広がっていた。
学生寮と聞いていたから、てっきり狭いものかと思ったけど、ベッドもしっかりしているし、キッチンだってある。
それにバスルームがキラキラしている。
なんだこれ、スイートルームに間違えてきちゃったのかと錯覚するような内装だよ。
「荷物という荷物もないし、着替えもなんか積み込まれてるし、至れり尽くせりだね。」
最高の環境をくれた、学園都市に感謝。
母さん、父さん、妹よ。
僕はこの環境で生活できるんだったら、学生頑張ってみちゃおうかななんて思ったりしているよ。
さて、ちょうどお腹も減ってきたし。
どうしようかなぁ。
そうだ、学生証使って周りにいい飲食店内か探し見ようかな。
ええっと、この辺には......オーク肉のステーキ店、魔力草を使ったレストランとか、何だろうこのそれじゃない感。
僕はそっとその検索結果を閉じ、学生証の出前アプリでハンバーガーとポテトを注文するのだった。
はぁ~ダンジョン行きたくないなぁ~!
そんなことを思いながら、今日の夜はジャンクフードを食べて、気持ちのいい風呂に入り、ふかふかすぎるベッドで熟睡した。
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