3章 消滅人類証明者
58話 夢?いや、現実?一体どっちなんだい!?
目を開けるとそこは、崩壊した研究室のような場所であった。
なにやら、遺跡のようにも感じる。
僕はその研究室の中心に横たわっているようだ。
「...ここは?」
声を出したが部屋に響くことはなかった。
直ぐに、自分の姿を確認する。
すると自分の体は、薄く透けていた。
俗にいう幽霊状態という奴だ。
もしかして、夢か?
と思ってみたけど、どうやら違う。
夢のように、ふわふわした感覚がない。
これは現実だ。
僕はいったいどうやってこんなとこに来てしまったのだろう。
そんな疑問は考えても無駄なのだろう。
だって、こんなことは何度もあったような気がするから。
よし、それじゃあ。ここから脱出する手段を考えるとするか。
僕は研究室を見渡して、役に立ちそうなもの探す。
探してみるものの、あちこちが崩落していて、道具のようなものは壊れていた。
どうするか。
これじゃあ、何もできないや。
そうしてもう一度何かこの部屋にないかと、思案する。
一つ異質な場所が頭によぎる。
大きな扉だ。
まるで、ボス部屋のような大きな扉。
僕は、そこに行ってみることにした。
重い扉は手をかけることもなく開きだす。
その開かれた扉の先、その中心にそれはあった。
神々しいような、未来的なような、この世のものとは思えない輝きを放つ武器が一本。
台座に突き刺さっていた。
あれはいったいなんだろう。
僕は、あの武器に吸い込まれるように近づいていく。
近づくとその武器は剣のようであった。
そして、その台座にはこう書いてあった。
『オリジンキー』
直訳すると原点の鍵だろうか。
僕はその武器を手に取ろうとする。
その瞬間、僕はオリジンキーに体ごと吸い込まれた。
ぱちりとまた視界が開かれる。
少しばかり寝ていたようだ。
手を伸ばすと手がある。
そう、体がある。
ということは。
「声も出せる。」
僕のものとほぼ同じ声だった。
どういうことだ。
景色は先ほどと変わらない。
つまり、夢ではなく現実だということ。
近くに鏡のようなものがあった。
僕の体は、どうやら美しい白髪の見た目をした少女であった。
「うそだろ~!」
僕の驚きは、部屋中に響き渡った。
さて、現状を把握しようか。
僕は女の子に、この部屋どこか分からない。
出口のようなものはあった。
その出口には鍵穴のようなものがある、たぶんこのオリジンキーを差すのだろう。
よし、じゃあ外に出よう。
即断即決。
僕は、さっさと自分の姿に戻りたい。
出口のような場所につく。
そこにオリジンキーをぶっ刺す。
ガチャリとオリジンキーを回す。
ブォン。
という機械音が鳴り、扉はガチャンガチャンと変形して開かれる。
開かれたその先から、日光の光はなく。
ただ、暗い色の空が広がっていた。
まるで、異界のような景色が僕の頭を混乱させた。
嘘だとまたしても思いたかった。
空、海、地上。
その全てに、現実ではありえない生物が存在していた。
空には、不定形の翼をもった蛇が飛んでいる。
海には、苔の生えた魚人が泳いでいる。
地上には、触手のようなもの、黒色のスライムのようなものが徘徊していた。
正気度ががりがりと削らていく見た目であった。
出口を振り向くと、一つの看板があった。
「誰も逃れられない、誰も生きられない、ここは崩壊都市」
そう書かれた看板が僕の頭に強く記憶された。
ここから、どうやって逃げればいいだ。
逃げられない。
ここから先どうやって生きていくんだ。
生きられない。
看板の内容は、僕の生きる意志を軽々と破壊しようとしていた。
恐ろしい。
それでも、僕は生きなきゃいけない。
それだけで、僕は行動した。
とりあえず、僕は研究室に逃げ帰った。
「はぁ~今日はもう無理だ。もう寝よう。」
少女は研究室にあったベッドで深い眠りについた。
「生存はしていると思います。」
「肉体は死にましたが、彼の魂はここにいます。」
「ですから、彼の帰りを待つよりほかありません。」
その医者は、説明する。
アニマの死を。
そして、証明する。
アニマの生存を。
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