69話 海底神殿探索とかいう、ホラーゲームよりも何倍も怖いヤツ。
「うわぁ......これはいくら何でもえぐすぎないかなぁ。」
海の中を水流で絶賛潜航中の僕の目には、海の中の惨状がはっきりと見えてしまっていた。
この水龍ただ泳いでいるように見えるけど、通りすがりに魚人をひき殺しているんだよね。
そのおかげでこの海は死屍累々となっている。
「でも敵を減らすことにおいてはこの古代魔法すごく役に立ってるからなぁ。」
「まぁいいか。それよりも速く4つ目の研究室に行って強化データを取ることが優先だし。」
水龍は勢いよく進んでいき、やがて一つの神殿が現れる。
そこで水龍は静止してしまう。
「えっ...もしかしてここが終点?だとしたら、この神殿の中に研究室があるの?」
「下手なホラーゲームよりも怖い探索の始まりってこと...?!」
「はぁ...仕方ない。うだうだ言っても邪神倒さなきゃ帰れないし。行くとしようかな。」
神殿に向かって泳いでいくと、神殿の中から武装した魚人の集団が襲ってくる。
「こいつらもいるの?はぁ本当にめんどくさいなぁ。」
と言いつつもオリジンキーを構える。
魚人たちは得意の泳ぎによる突撃や槍投げで攻撃してくる。
でもその攻撃は強化されたオリジンキーには遅すぎた。
僕は水中をまるで飛ぶように泳いで、魚人の突撃を回避してから切りつける。
投げられた槍も見ずにキャッチして投げ返し魚人を貫いた。
それを何度も繰り返していると、魚人は出てこなくなった。
「ようやくおかわりが無くなったか。かれこれ、100体近く倒したな。」
神殿の周りには魚人の死体がいくつも浮いていて気持ち悪い。
さっさと神殿の中に入ってしまおうかな。
そうして入った神殿の中は水中ではなく空気のある空間だった。
「びっくりした。急に空気があるばしょになるなんて。それにしても、この神殿に研究室なんてあるのかなぁ。」
神殿の中は不思議な植物が発光していて明るく、暗い場所はあまりない。
「さて、どこを探したらいいだろうな。」
「っとこんな時のためのナビゲート機能があるんだった。」
オリジンキーは神殿の中心地を指し示していた。
つまり、研究室は神殿の中心にあるということだ。
そして現在地はその中心よりも2段くらい上。
「階段あるかなぁ。」
探し回っているとそれらしき階段があった。
その階段を降りていくと、モンスターハウスのような状況が広がっていた。
大きな広間に魚人の兵士がびっしりと休憩あるいは、会話しているように見えた。
ここはこの魚人の居住地なのだろうか。
そう考えているとこっちの存在がばれた。
「うん。ばれるよねそりゃ。」
流石にさっきの戦闘で僕も疲れているのでオリジンキーの力に頼ることにした。
何を使おうかな。
「決めた。魚人には焼き魚人になってもらおう。【古代の炎】。」
そう宣言された古代魔法はその姿を現す。
純然たる炎の怒りがそこにはあった。
現れたのは炎の巨人。
その熱気に魚人は近づくことすらできずにいた。
炎の巨人が僕の方を見ている。
これは命令待ちということなんだろうか。
「それじゃあ。思いっきり一掃しちゃってください!」
僕の命令を受け取って炎の巨人は動き出す。
炎の巨人は手に炎を集めて一つの剣を作り出す。
その刀身は炎が燃え上がり続けている。
そして、炎の巨人は魚人どころか神殿を破壊しかねないほどの力で剣を薙ぎ払う。
薙ぎ払われた後には、魚人の群れだったものが一瞬で灰となっていた。
その光景はあまりに衝撃的な火力で古代魔法の力の一端をまたしても垣間見たのだった。
炎の巨人は仕事を終えたのか、薙ぎ払ったのち一礼して消えていった。
律儀だなぁ。
「...ってそうじゃないよ。なんなんだよあの火力おかしいでしょ!!!」
「だって、ここには殺気よりも多くの魚人がそれも防具もがちがちに着ていて、さらに強そうなやつまでいたのにそれを一撃って、古代魔法オーバーパワーすぎる。」
「はぁ古代魔法を使うと驚きの連続ばかりだよ。」
一掃された広間の奥にはさらに下へと降りる階段があった。
次の階層もモンスターハウスとか流石にないよね?
恐る恐る降りていくと、大きな扉があるだけだった。
「これボス戦じゃん。絶対ボス戦じゃんこんなの。」
しかもボス扉の前には、回復アイテムや攻撃アイテムが置いてあった。
「ぬぁ~もう絶対ボス戦だし。しっかり準備してから行こうかな。」
僕は自分が戦闘で使える手札やアイテムを確認していく。
「と言っても確認することそんなにないけどね。」
「海の神殿のボスってなんだろうな。素直に考えたら魚人の親玉なんだけど。」
それは扉を開けてのお楽しみってやつかな。
果たして蛇が出るのか鬼が出るのか。
扉は重く開かれていった。
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