63話 ありしありえた人類の刻み。
コツコツと足音がなり、洞窟に響く。
オリジンキーが示すのは、洞窟の奥深く。
そこに2つ目の研究室があるという。
洞窟の中には、幸い不定形のスライムのような敵はいなかった。
「洞窟からいきなり敵が出てきたら、ホラーすぎるでしょ。まったく。」
誰に言っているのか、独り言を言い、気を紛らわせる。
洞窟を進んでいくと、ただの行き止まりのごつごつとした岩壁しかなかった。
でも、その空間は妙に広いのだ。
「何かあるのかな。」
オリジンキーをその岩壁に照らし見ると。
岩壁のテクスチャが透けていく。
その先にはなんと近未来的な扉が出てきた。
「いやオーバーテクノロジーすぎるでしょ。」
本当に太古に生きた人類なのか疑わしいほどの進みすぎた技術に驚嘆しながらも扉を開ける。
研究室となっている扉の先は、ものが散乱していた。
「これじゃあ、探すのめんどくさいな。」
そんなことを考えながら、何かないかと物色していくアニマ。
しかし、有用なものは見つからなかった。
全て文字のようなものがあった筆跡がまるでなかったように消えていた。
メモのようなものには人は存在しなかったように空白があるだけだった。
オリジンキーが淡く光る。
淡く光ったそれは矢印となり、奥の扉を指し示す。
催促するように光の矢印は動く。
僕は矢印の赴くがままに動いた。
矢印が示した場所には、台座がまたあった。
そこにはやはりオリジンキーを差す場所がある。
「じゃあ、矢印君も催促してることだし差しちゃいますか。」
僕はオリジンキーを差すと、光がオリジンキーの中に流れ込んでいく。
数秒して、その光は消え、僕はオリジンキーを引き抜く。
今回、インストールされた能力はこれだ。
『対邪神用追加装備モジュール』
なんだろうと、出てきたウィンドウのタップすると詳細が現れる。
そこには色々な武装が書かれていた。
マイクロミサイルにレールガン、波動砲、クラスター弾に、サーモバリック爆弾、神聖弾、魔法剣。
様々な武器が羅列され、それは邪神特攻が付与されているとのこと。
その武器の一つ一つに願いが込められていた。
武器に書かれたメモ。
少しばかり、感傷に浸りたくなった。
(どうか、私たちの犠牲が無駄になりませんように)
(どうか、私たちの仇を打ってほしい)
(どうか、人類が末永く生きていけますように)
その願い達を胸に抱く。
少女の目には、溢れんばかりの雫が落ちて。
水たまりがぴちゃぴちゃと鳴り響いた。
絶対に。
僕は邪神を倒す。
決意はさらに固く、オリジンキーは強化された。
残りの研究室は3つ。
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