62話 えび、えび、えび、どこにでもえび。
まず1つ目の東の研究室から強化データを取得することができた。
次は、南にある二つの研究室を目指していこうかな。
僕は南側へと歩みを進めるが、やはりそこにも奴らはわらわらといた。
「ああもう気持ち悪いなぁ。汚れるの嫌だけど、オリジンキーが強化されたしだいぶ楽に狩れるかな?」
そんなつぶやきをして、アニマは地面を踏み抜く。
その加速は明らかに今までと違い。
対象のエネミーまで、2秒で到達していた。
「はっや!」
驚く声と裏腹に、反射的にオリジンキーを振りかざす体。
その一撃に気づく間もなく、エビのような羽根蟲はザクロのように溶けてなくなった。
死ぬ間際に、じじっっと電波音が鳴る。
その音を聞きつけてか、エビ羽根蟲が集まってくる。
鋏が光らせながら、まるで得物を見つけたかのように。
僕は溜息を一つはいて、息を吸う。
「全部まとめて切り払ってやる。」
彼女からはただだるいといった雰囲気が漂う。
そうして、一斉にエビ羽根蟲がとびかかってくる。
彼女はオリジンキーを振り回すだけ。
踊って、踊って、回って、回って、疲れるだけだった。
エビの甲殻はオリジンキーの前では意味をなさず。
鋏で切られようと、エネルギーシールドによって無傷。
アニマは殺戮の限りを尽くす。
エビ羽根蟲の液体が地面を彩っていく。
ぴくぴくと羽根が少し動いて止まる。
最後の一匹が塵となり消える。
またか。
少女は思う。
エビ羽根蟲の液体が少女を穢す。
「これだから戦闘は嫌いなんだよ。」
少女は少し休憩して、また南の研究室を目指す。
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