60話 黒きは鈍く、白は舞う。


黒のスライム。


その姿は、見る者の正気を狂わせる不定形。


「いくよ!オリジンキー!」


僕は黒のスライムめがけて、オリジンキーを剣のように振るう。


黒のスライムは、突然の奇襲に気づかずにオリジンキーに切られる。


すると、黒のスライムはジュっと焼け焦げるような音を出して、蒸発してしまった。


「えっ!」


僕はこんなにあっさり倒せるとは思わず、驚いてしまった。


もしかすると、オリジンキーには黒のスライムのような敵に特攻があるのかもしれない。


うん、きっとそうだ。


だって、この世界を救う鍵らしいからね。


よし、この調子で研究室を目指すぞ。


以前、進む先には絶望が余すところなく敷き詰めれている。


スライムを倒したと思ったら、その先には、真っ黒な触手がいた。


「嘘だろ!なんかさっきのスライムよりキモイし!」


僕はまたオリジンキーを握りしめて、触手を切っていく。


真っ黒な触手は先ほどのスライムと違い、僕の攻撃に反応し触手を伸ばしてくる。


弾丸のようなスピードで触手が飛んでくる。


「まずい!避けられない!」


と思っていたが、触手が当たると思った瞬間、触手が一気にスローになった。


「これはどういうことだ?」


触手が遅くなっているのではなく、自分が触手より早くなっているのだと気づく。


僕が触手を躱すと、触手は地面をえぐっていた。


そして、躱した体勢からオリジンキーを触手に振るう。


柔らかいものを着る感覚が手に伝わり、触手が切れる。


やはり、焼け焦げるような音ともに、もがき苦しんで触手は蒸発してまった。


「ふぅ...あぶなかった。あともう少しで腹に穴が開くところだったよ。」


「それにしても、なんで触手を回避できたんだろう。」


その疑問は、何度熟考しても、分からず仕舞いで終わった。


真っ黒な触手を倒し、その先へと進む。


その先には、またしても気味の悪いモンスターのようなものばかりが跋扈しているのだった。


「はぁっ...全部倒していくしかないか。」


僕はいやいやながらにも、オリジンキーを使い、モンスターを消し飛ばしていく。


モンスターを倒していくごとに、身体能力が向上していくのには気づかず。


ただ、たんたんと、モンスターを切り結んでいく。


謎の液体や、返り血を浴び、その少女は絶望に抗う。


少女の顔には、いまだ笑顔は見えず、それどその眼には炎が宿っている。

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