第6話 オモロい子やな
「あっははは!!」
銃!?と驚き声を大きくするユイを見て笑うカルテット。
「な、なんで笑ってんだよ...ビビるだろ普通...」
「...はぁ...はぁ...面白すぎ...。
見た目はたしかに拳銃だけど、構造は全然違うよ。使ってみて」
そう言ってカルテットが拳銃を...見た目だけならデザートイーグルに
「えっ」と慌てて手に取るユイ。
拳銃をカルテットがいない方に向かって構える。
引き金を震えながら引くと―――――――。
「...え?何も出な......っは!?」
ユイが言うタイミングで大きな発射音と共に大きなビームが射出される。
「ななななんだこれ!?!?」
「あっっっははははは!!!!!!ほんっといい反応するよね...はははは!」
「うるせえ...とりあえず返すぞこれ」
そう言ってソレをカルテットに投げ渡す。
「さ、説明しようか。これは
「銃じゃねぇか!!それに...当たったら死ぬぞこれ...」
「ま、そんときゃそんとき!あとこれガンって着いてるけど銃じゃないから!!」
そう言うとHLGを構えてユイに向ける。
「そこじゃねえだろ……おいまてお前!!!!」
発射音と共に飛んでくるレーザーを右にかわすユイ。
避けた先には既にもう一つのレーザーが迫ってきていた。
「ちょ、っま……くっそ!!
目の前に迫ってきているレーザーを保存する。
そのユイに向かってカルテットが蹴りを入れる。が、右腕で防ぐユイ。防がれたとほぼ同時に先ほどと反対の足でもう一度蹴る。一撃、二撃、三撃――と何度も蹴りつけるカルテット。
それを何度も防ぐユイ。―――――だったが、戦闘初心者の奇跡はそう何度も起こらず、彼女の蹴りによって吹き飛ばされるユイ。
「いっ!ぐっ!があっ!」
飛ばされたユイは三回ほど床を転がる。
ようやく止まったユイに向かってカルテットは無常にもHLGを撃つ。
「っちょまってしぬしぬしぬ!!!!【
間一髪、レーザーを保存することに成功する。
が、既に横に迫っているカルテットの蹴りに気づかないユイ。
「……え?」
凄まじい轟音と共に土埃が巻き上がる。
土埃が晴れて、そこに立っていたのは長い髪のカルテットだった。
「ふう……。ユイもまだまだだねえ?」
数十メートル先で倒れているユイに向かって言う。
「うるせ…………」
なんとか返事することが出来るユイ。
「ってかなんで俺怪我してねえの?痛みも引いてるし」
「ああ、説明忘れてた。
私みたいな堕天使は堕天した時に、堕天権能っていうちょっと特殊なものが与えられるんだ。
まあその堕天権能で善行を積んでもう一度天使になるため……とか言われてる」
「……?うん」
「で、私の堕天権能、
「はあ!?チートじゃねえか!」
「いやいや、これがそんなに便利なものじゃなくてさ―――――――――――――」
***
「さて、時間になった訳だが」
アカネの前に立っている、白衣の女性が言う。
彼女の名前は
「君のお友達は来ないなあ?」
「っ……。それでいいの。ユイは来なくて」
「ほう?何故?」
「危ない目にあって欲しくないに決まってるじゃん!まだ契約して2日目だよ。戦い方なんて何も知らないのに……」
「では君はどんな目に遭わされてもいいと?」
「……うん……。やるならさっさとやりなよ……!」
「ほう。いい志だ」
そう言うとアルは、着ている白衣のポケットから拳銃のようなものを取り出す。
「っ……!」
それを見たアカネは驚き体が震える。
拳銃を突きつけ、アルが言う。
「さて、遺言でも聞いておこうか」
「……私は――――「諦めんの早すぎだろ」
話し始めたアカネのセリフを遮るように何者かの声がする。
その声を二人が聞いた瞬間、アルの顔面に向かってユイが蹴りをいれる。
当たり前かのように蹴りを防いだアルは、着地したユイに向かって言う。
「おやおや?いいねぇ。ヒロインのピンチに駆けつけるヒーローくん。
でも不意打ちは卑怯じゃないかなあ?」
「うっせ。【SRAM】はほとんどわかんねえんだ。お前一人で体力を消耗する訳には行かねえんだよ」
「ふーん。……それを見逃すとでも?」
そう言ったアルは持っていた拳銃をアカネ――の後ろに向かって突きつける。
そこに立っていたのはカルテットだった。
「っく……。バレちゃったか。……まあいいや。銃なんかで私のスピードに追いつけると思ってるの?これでも元は大分上位の方なんだけど。
あ、アカネ、舌噛まないようにね」
そう言うとカルテットはアカネが縛られている椅子ごと抱えて天高く飛ぶ。
「っち。まあいいか。さて、ヒーローくん。私が相手だ」
「へいへい。やるしかねえからな!」
向かい合う二人。
アルが言う。
「
すると手に持っていた拳銃が、景色と同化するかのように見えなくなる。
(……!ものを消す権能……?いや……)
そう考えているユイに向かってアルが銃を構える。
もっとも、ユイからするとポーズをとっただけだが。
刻品アル、権能、【
それのみではあまり戦闘向きでは無いが、拳銃を透明化、更に弾丸も透明化することによって見えない攻撃を可能にする!!
発砲音のみが聞こえたユイが咄嗟に権能を発動する。
「【
見えない弾丸を吸収し、すぐに射出する。
それを軽々と躱したアルが言う。
「反射系の権能……いや、タイムラグと意味深な
恐らく今は弾丸の飛んでいくスピードを変えることなく保存したのだろう。だから取り出す行為のみで弾丸を飛ばせる」
「なっ!?そこまで今の一瞬で……!?」
「何言ってるんだ。これくらい誰でも出来るだろう」
(いや無理だろ……)
そう思ったユイはもう一度、権能を発動しある武器を取り出す。
それは日本人なら誰もが知っている……否、日本人以外でも知っている
日本固有の製造法で作られた――――――日本刀である。
「まあ当然だろうな。保存、取り出しの権能では相手の攻撃を使うしか攻撃方法がないからな。…………見たところ……その日本刀は地上のものじゃないな?」
「見た目で分かるか……?
まあ合ってるんだけど。なんか天空?天界の刀らしい」
「ふぅん……。気になるなあ?
……ちょっと見しておくれよ」
そう言ったアルは既にユイの懐に入り込んでおり、綺麗な回し蹴りを入れる。
「がっ……!?」
「あ、ごめんごめん。……合わせて戦ってあげてたけど……もういいかと思ってね」
「っち。……これだから嫌いなんだよ、天才は」
「褒め言葉として受け取っておこうか。
……ん?ちょっと待て。お前……なんて言った?」
アルが言う。
それを聞いてユイが返事をした。
「あ?これだから嫌いなんだって言ったんだよ」
「違う。そこじゃない」
「?」
「その後だ」
「あー、天才?」
「何故それを知っている?
……それに君ほどじゃあないよ、私は」
アルは睨みつけながら言う。
「っはは!天才と言えどさすがにわかんねえか。まあ……教える気はないんだけどな!」
そう言うとユイは日本刀を構える。
―――――――――――が、その瞬間、絶望することとなる。
「ほんまに来たんや?オモロい子やなあ。
まあ、赤髪の子連れていかれたし……それ相応の対応せなあかんわ。ごめんな?」
黄色い髪の毛の、昨日みたあの関西弁の男が言う。
その周りには、男女、人と天使を合わせて15人――――――――。
地上偵察部隊【SRAM】の全団員が揃っていた。
堕天使さんは誤解をときたい! 翡翠 珠 @Kopepe
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