第49話
「何があったんですか!?」
王城から急ぎの呼び出しを受けて陛下の執務室に行くと、扉を開けるなりヒマリの焦った声が聞こえて来た。
先行して神聖王国に潜入しているフレバンとキースから緊急の報告があったとは聞いているけど、私もそれ以上のことは知らない。
まぁ、何となく予想は出来るけど。
「聖女殿、落ち着かれよ。
あぁ、サキも来たか。それでは揃ったところで早速話に入るとしようか」
何事だと思いながら私が軽く会釈だけしながら席に着くのを見た陛下が口を開く。
今日陛下の執務室に集められたのは、先日と同じ面々。
一応急いで来たつもりだったけど、どうやら私が最後だったみたい。
他のメンバーはいつも王城に滞在してるから仕方ないよね、うん。
「まず、今回報告をして来た騎士だが、クラリス嬢の救出作戦の為に神聖王国に先行して潜入していたサキの部下だ。
そこまではご存知か?」
これはヒマリに向けた問い掛け。
陛下や宰相はもちろん、私達近衛特別部隊のメンバーは当然ながら把握してるからね。
「あ、はい。先に現地調査?に行ってくれてる騎士の方がいると言うのは聞いてます」
ヒマリの返事に満足そうに頷くと、陛下は言葉を続ける。
「うむ。結構。
実は先程、その騎士達から報告が届いたのだが……」
そこで言葉を切り、陛下は宰相に視線を送る。
「詳細は私からご報告致します。
神聖王国に無事潜入した特別部隊員は、クラリス嬢の囚われている場所の特定、及び現在の神聖王国の情勢を調査していました。
その中で、クラリス嬢の処遇に関して緊急を要する事態の発生を確認、急ぎ報告をして来ました」
フレバンとキースは、こう言った調査に関しては右に出るものがいないと言えるくらいのプロだ。
その二人が緊急と判断したからには、まず間違いなく良くないことが起きている。
「神聖王国側は、どうやら聖女殿の行方を必死に探しているようですが、まだ発見には至っておりません。
また、長らく聖女殿が姿を見せないことで、それを不安視する声も増え、大神殿の管理責任を問う声も大きくなっているようです。
そこで、教皇は今回の聖女殿の出奔の責任をクラリス嬢に押し付けたようです。」
「そんな!?あたしは自分の意思でここに来たんです!」
「ヒマリ、それはみんなわかってるから落ち着いて」
「サキさん……」
んー、そう来たか。
まぁ、一方的にクラリスを悪人にして教皇の息子との婚約を破棄させるような連中だもんね。
それくらい平気でやるか。
「大神殿もなかなかどうして……ですね。
聖女殿への虐待及び拉致の罪で、クラリス嬢を公開処刑することを決めたようです。
そんなことしても、大した時間稼ぎにすらならないと思いますがね。
いや、むしろ邪魔なクラリス嬢を処分する良い切っ掛けくらいに思っているかもしれません」
訂正。
思ってた以上に馬鹿でクズだな。
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