第33話
「は、はじめまして!」
緊張した面持ちで入って来た少女は、すっとした鼻筋に透き通るような白い肌に……といった感じの儚げな雰囲気の美少女。
おぉ、聖女っぽい。
高校生くらいかな?
こんな子がクラスにいたら、さぞやモテたに違いない。
「サカシタヒマリと言います!よろしくお願いします!」
元気に挨拶をしてぺこりと頭を下げる聖女。
見た目の雰囲気よりずっと活発な子なのかもしれない。
「こんにちは。私は……」
私も立ち上がって挨拶を返そうとしたところで、何かを探すように室内に視線を巡らさせていた聖女がある一点を見て目を止める。
「あ、貴女がサキさんですか?
あれ、でもその髪色……。もしかしてハーフの方だったり?」
私の名前を呼んでいるのに、視線は私から微妙にずれている。
その見詰める先にいるのはカレンだ。
私は目に入ってないのかなー?
そこ見てたら、絶対視界に入ってるはずなんだけど?
「え!?いえ、私じゃなくてですね……」
自分が言われていることに気が付いたカレンが、戸惑うようにこっちを見る。
それに合わせて視線を動かした聖女は、私に目を向けるとポツリと一言。
「サキさんの妹さん?」
「ぶふっ!」
「あらあら」
吹き出したの陛下だな。
王妃様は困ったような顔して笑ってるけど、絶対に楽しんでるし……。
「あの、サキは私です」
「え?」
仕方なく手を挙げて名乗る私に、聖女はキョトンとした顔を向ける。
「でもたしかサキさんは20代って……。
あれ?あたしの勘違いですか?」
あー、そーゆーことね。
年齢は聞いてても、見た目がこんなことになってるのは聞いてなかったってことか。
確かに私の実年齢で考えると、カレンと間違えるのも仕方ないのかな。
王妃様も同じくらいに見えるけど、服装が明らかに私達とは違うしね。
「いえ、間違いなく20代ですよ。
まぁこんな見た目になってるから信じられないかもですけど」
「そ、そうなんですか……」
「聖女殿」
目を見開いて固まってしまった聖女に、ずっと笑っていた陛下が声をかける。
絶対こうなるのわかってて私の見た目のこと黙ってたな。許さん。
「彼女が間違いなく『流れ人』のサキ・ヤマムラだ。
さぁ、ずっと立ったままで話すのもなんだ。
座りなさい」
密かに怒りを募らせている私に気付いているのか、いないのか。
陛下が聖女に座るように促す。
確かに聖女も私も立ったままだしね。
「あ、ここどうぞ」
二人用のソファを私一人で使っていたので、少し詰めて座る場所を空けてあげる。
「ありがとうございます……」
そう言いながら座る聖女だけど、チラチラとこちらを見てる。
どうやら、相当私のことが気になるみたい。
いや、私の見た目が気になるのかな?
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