第22話
レミアは本当に怯え切っているみたいで、私の言葉にも頭を上げようとしない。
あぁ、もう。
めっちゃ周りから注目されてんじゃん。
全然頭を上げようとしないレミアや、周りからの視線にどんどんイライラが募ってくる。
「おう、伯爵。もういいだろ?
こんな形で目立つのは、娘さんの今後にだって良くないのはわかるよな?」
「え、ええ、ガイエス団長殿。
確かに仰る通りですな」
ガイエスさんの言葉に、ノートマン伯爵は慌てたようにレミアを引き連れて離れていく。
レミアはかなりふらついてたけど、大丈夫あれ?
まぁ、いいか。
とりあえず、今ので主催者への挨拶は終わったってことでいいよね。
「ガイエス団長、助かりました。ありがとうございます」
「気にすんな。あのままじゃサキが暴れそうだったからな」
「そうですな。さすがにここでは人目があり過ぎますので」
「お前も苦労してんなぁ……」
さっさと料理の並べられているテーブルに向かって歩き出している私の後ろで、ガイエスさんとヒギンスが何やら話している。
なんか好き勝手に言われてる気がするけど、今はそんなことよりも料理の方が大切だ。
「隊長、なに食べます?あたしが取ってきますよ!」
「やっぱり肉っすよ!ここの肉めっちゃ美味そうっす!」
「じゃあ、お肉にしようかな」
いつもと変わらないカレンとジェイクの姿に、イライラしていた気持ちが少しずつ落ち着いてくる。
「あ、飲み物はジュースにしましょ!隊長にお酒は早いですもんね」
……ん?
「肉になら赤ワインと言いたいところですけど、ぶどうジュースにしましょうか。
見た目はほとんど同じですし!」
そう言いながら、お肉の入ったお皿とたぶんぶどうジュースが注がれているであろうグラスを持ってニコニコとしているカレンをじーっと見詰める。
確かこの国の成人年齢は18歳。お酒も18歳から飲める。
日本でだって、お酒は20歳から。
そして、私は今23歳だ。
「カレン?」
いつも通りの無表情で問い掛ける私に、カレンがピシッと固まる。
「や、やだなぁ~隊長。なんで殺気なんて出してるんですか?」
自分用のお皿にお肉を大盛りにしているジェイクが引き攣った顔で離れて行くけど、そちらは気にしない。
「私23だけど?」
「そ、そうですね……」
ほほう、分かっててそれか。
いい度胸だ。
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