第10話
もちろん、家の使用人となっている子達は、本人は犯罪には関与していなかった子だけだ。
関与してたなら、私に殺されるか処刑されるかしていたし。
この子達も、本来なら国外追放くらいはされていておかしくなかったというか、そうなるはずだった。
だけど、日本人としての感性なんだろう。
直接の罪を犯していないのに、家族というだけで連座させられるのが気に入らなかった。
でも、国としても無罪放免にするわけにはいかないっていうものだから、それならと私が引き取ることにした訳だ。
ちょうど屋敷の使用人も探してたし。
小さくて良いって言ったのに、無駄に大きい屋敷を与えられたもんだから、どう頑張っても私とアーシャ、執事長だけじゃ維持するのが無理だったんだよね。
もちろん、あの子達にとって私は家族の仇みたいなもんだから、恨んでる子も多いと思う。
だから、仇討ちをしたいなら別に止めない。
ただ、私も大人しく殺されてあげるつもりはないから、その時は容赦なく殺す。
「まぁ、そんなわけだから、貴女もそのつもりでいてね」
「わかりました……」
そう言えば、今のところ私を害そうとして来るのは誰も居ないな。
レイシアみたいに、性格に難があったから事前に拷問見せ付けて矯正した子ならともかく、そうじゃない子もいるのに。
まぁ、どうでもいいや。
何かして来たら殺す。そうじゃないなら私からは何もしない。それだけ。
「えーと、あとは……そうだな。
仕事の詳しい内容は、後でアーシャと執事長から聞いてね」
「はい」
「で、王都から出なければ、休日とかは好きに出掛けて良いから」
「……え?良いのですか?」
「うん、良いよ。あ、でも黙って王都から逃げ出すなら追い掛けて殺すからね?」
正直、私としては王都から逃げ出そうがどうでも良いんだけど、一応許可なく王都からは出さないのが陛下との約束だからね。
誰かがその約束を破って、それで大人しく働いてる子達にまで迷惑をかけられたら気分が悪い。
使用人の子達は、国としてはあくまでも監視付きでの自由を認めるって感じらしいから仕方ないのかな。
「とりあえずはこんなとこかな。
たぶん他にも知り合いいるだろうから、気楽に働いてね」
「……あ、ありがとう……ございます」
何だか信じられないものを見るような目で私を見ていたレイシアを見送り、うーーんと一つ伸びをする。
公爵令嬢だったんだから、きっと使用人の仕事なんて想像も出来ないことばかりだろう。
他の子達もみんな最初はそうだった。
でも、さすがは貴族令嬢って言うべきか。
頭がいい子が多いし、仕事の覚えは早い子ばかり。
得手不得手はどうしてもあるけど、そこはアーシャや執事長がきちんと見極めて適材適所に配置してるし。
きっとレイシアもすぐに仕事を覚えて屋敷に馴染むだろう。
その後は、新しい人生を歩むも良し。
兄を拷問した私を恨んで報復しに来るのも良し。
好きにしてくれればいい。
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