時は少し遡り、夏休み序盤。まだ地獄に足を踏み入れる前である。

 私が一つ書き上げた作品が、今もカクヨムの最下層あたりに眠っている筈である。今読むと視点がぐっちゃぐちゃで読めたものではないが、当時は力作と信じてやまなかった。

 題は『ベリアルさんの偉大なる悪魔料理』

 かつて人類が開いたゲートにより悪魔が現れた。そんな悪魔に対抗すべく作られた組織「DR」に所属する宮沖トウヤはある日、力を失った悪魔ベリアルと出会い、身体を乗っ取られ、戦いの災禍に巻き込まれ…

 

 うん、やかましい(二回目)

 なんだこれ、呪術○戦すぎるだろ。

 

 今にして思えば、本当によく分からない。一応二部三部と続ける予定だったものの、なんか蛇足くさいからという理由で全十二話で収めたのだが、そのせいで伏線が散らかりすぎてもう訳が分からない。ていうか、なんの説明もなしにアガリアレプトとかサタナキアとか言われても何が何だかって人の方が多かった筈である。

 羽島の過去やらゲート開通の真意、今は亡き二部でテーマとして扱った悪魔の存在とその起源だとか、文章にしてない故に自分にしか分からない設定が盛られすぎなのだ。

 そしてなにより、ガバい。長期ではなく十二話で完結させ、制作期間も二週間程度と拙作すぎる。もっと練れよ設定を。

 

 正直、この頃は内心の反映などではなく、

義務感で書いていた。キミトメにあった様な、自身の反映など一切ない。むしろあったら困るだろこのテーマは。ふざけてんのか。

 故に、ただの娯楽を生み出そうとしていた訳である。これ以上は文句が止まらなくなるので、自重する。

 

 作中「七つの大罪 強欲」にあたるマモンというキャラが登場している。彼は、己の正義が欲しければ他者の正義を食い荒らせ、と語った。正義の反対もまた正義である、だからなんだよ俺の正義のために犠牲になれよ、そういった事だろうか。しかしこれはこれで、悪魔らしい身勝手な内面を表せたのではないだろうか。

 

 

 ただ、夏休み後半から九月にかけての私のくたびれようを考えるに「ベリアルさん」はここで終わっていて本当に良かったと思う。当時完結している作品といえば「歪ミノ咎学園」のみであり、私を苛む躁鬱の中でダラダラと本作を続けていれば、きっとまた同じように途中で投げ出していただろう。

 「ベリアルさん」は私にとって、初めて短期間で完結させた作品。どちらかと言うと、短編にあたるものなのだ。完結させた、その事実を得られただけでも、役割は果たせた筈である。

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