高校一年の夏休みは、波瀾万丈だった。普通に学校が面倒くさくて仕方ないと声を大にして叫びたかった私にとっては、長期休暇ほど嬉しいものはなかったわけだが。

 

 そんな夏休み中旬辺りからアルバイトを探し始めた私は、某飲食店チェーンに採用された。レーンに乗って皿を流すやつである。割とデカめの損害賠償事件があった方である。そもそも私は「高校ではバイトで稼ぎまくるぜヒャッホイ」といった感じで部活という選択肢が眼中から抹消されていた訳だが、何故夏休みになってようやく腰を上げたのか。まあ、シンプルに堕落していたからだろう。

 八月中旬辺りから働き始めた訳だが、それはそれとして残念なことが起こる。職場がカスすぎる。人格否定オバサン、職務丸投げ店長、飲食店とは思えない劣悪環境と、正直めちゃくちゃメンタルにダメージを与えられた。経験がなかった私は「これが当然なのか…?」と疑念を孕みながらも己に言い聞かせて続けていた訳だが、いや流石にそんなことはねえよと過去に戻り怒鳴り散らかしてやりたいくらいである。そもそも、翌日に保健所の監査が入るからと、高校生を二十三時まで働かせる法外店舗だったのだ。その時点で気付けや。

 この状況は夏休み中だったからギリギリ耐えられたものの、生活が通常へ戻ったら絶対まともに日常を過ごせる筈もない。九月上旬、私は当然のように毎朝過呼吸を起こして寝込むようになった。これが影響してるのかは分からないが、ある日ちょっとした事故に巻き込まれて松葉杖生活になったりもした。

 ケガを好機として、バイトは一ヶ月半で辞めた。色々な理由で登校できない故に、普通に出席日数が心配になる筈だが、学校がクソほどおもんなかった私にとってはそれもまた一興だった訳だが。

 高校二、三年で出会った友人たちが、店舗や系列は違えど「それ」で働いた経験があるというので、好奇心で聞いてみた。全員が私と同じ感想を述べた。まごう事なき地獄であると。

 もしこの夏に初バイトをと決め込んでいる方がいたら、ぜひ覚えておいてほしい。

 回転寿司チェーンはマジでやめとけ。

 

 

 とまあ、色々あり、作品を書くといった事もままならない状況が続いていたのも事実である。

 文化祭の準備に抜擢されたメンバーが誰一人仕事せずにTikT○k観て踊ってた為に私一人で三メートルの垂れ幕を作ったり、シンプルに友人関係の不和があったりと、精神的にくる要素は他にもあった筈だが。

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