無事受験を終えて高校生になった私は、高揚していた。あまりにも長きにわたる制限の砦からの解放、そしてなによりも、肩の荷が降りまくってめちゃくちゃ撫で肩になった事が嬉しかったのだ。誇張だが。

 

 とまあ、喜んでいた私が居たのも束の間というわけだが。正直にことの顛末を一言で記す。別に何かあったわけではないのだが。

 大したことではない。高校一年、これは私が生きてきた中で一番つまらない年だった、ということだけである。

 いや、まあそんな事もあると言って仕舞えばそうなのだ。ただあまりにもノリが合わない面子に、一人にならないよう無理やり入っていたというだけだった。周りはそれで楽しそうなのが、より一層めんどくさかった訳だが。薄情な奴だ。

 そんな事ばかり書いてるとキリが無いので、本題に戻す。

 

 私が高校一年の頃、何を書いていたか。正直あまり思い出せなかったのだが、過去のファイルを漁ったところ、打ち切ったひとつが発掘された。

 題は『ミステリアルエデン』という。

 平凡を絵に描いたような日常を気だるげに浪費する高校生、望月常盤もちづきときわ。放課後の教室で全力寝落ちをかましていた所、委員長の比嘉鶉ひがうずらが現れ、叩き起こされたのちに適当な会話に耽っていた。

 しかし唐突に、二人のスマホに仮面を付けた人影が映る。全世界の液晶機器に突如現れた人物は自身を「エデン」と名乗り、世界中に九十九個の謎を生み出した、と語りはじめた。

 何を馬鹿な、と、常盤は嘲笑するが、鶉の頬に謎の紋様が浮かび上がるのを見て、現実に引き戻される。エデンの語る謎は実際に起きているのか、これは何なのだ。世界を苛む九十九の謎とは、エデンとは何者なのか……

 

 うん。打ち切って正解だよこれ。

 完結するビジョンが見えねえよ。

 俺がこれ書くまで忘れてて当然だよ。

 

 本当に何がしたかったのか、分からない。てか普通にキミトメとかまだ完結してないだろ、早く書けや。

 私はその時の季節を作品内に反映する癖があるから『ミステリアルエデン』は恐らく五月六月あたりに書かれたものだと思う。カクヨム甲子園もあっただろうに何してんだよ。

 

 これに関しては、正直全く覚えていないので何か気の利いたエピソードがあるわけでもない。申し訳ない。

 ただ一つ言えるとするならば、クソほどおもんない現実を過ごしていた当時の私の心象が反映されてるのは明らかである。

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