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迫る高校受験の最中、私はもう一つの作品を生み出す。といっても、これも『ふぉーえばーステップ!』同様に完結することなく闇に葬られた訳だが。
『ブツメツダイヴァー』というタイトルで綴られたこの作品のあらすじを、簡単に。
突如として、あまりにも巨大な大仏が出現し、日本を東西に分断した。いつしか人々は大仏を「コンジキ」と呼び、盲目的に崇拝し始める。
そんな国民たちを異端と睨む少女、主人公の
しかしある日、伊織はレジスタンスを名乗る者たちと出会い、流されるまま基地へと連れられる。そこで彼らの語った「コンジキをぶっ壊す計画」に巻き込まれ、元の生活を取り戻す為……
といった具合だが、どうだろうか。
いや、どうだろうかと言われても困る筈だ。申し訳ない。
本作が続かなかった理由に関しては何度も語った通りだが、やはり受験期とのダダ被りが強いだろうか。しかし、この作品には受験期以上に、切っても切れない問題があった。
そう、宗教的問題である。
正直、私はクリスマスにケーキを食い、その数日後に初詣に向かうタイプの日本人である。しかし私が創作という世界に堕ちるに当たって、コンプライアンスという意識が生まれ始めたのがこの頃だったという訳だ。
実際Twitterなどで「ブツメツダイヴァー」の設定が面白い等の意見をいただいた事はあるのだが、やはり根幹の問題が邪魔をしていた。
実際に存在する奈良の大仏さんをモチーフにした「コンジキ」を、まるで悪鬼の象徴が如く描写してしまったのだ。描き初めは楽しかったものの、時間が経つに連れて、これ本当に大丈夫かといった疑念が生まれ始めたのだ。
当然、今にして思えばそんな事どうでも良いのだ。表現の自由を盾にする訳ではないが、当時の私が当作の執筆を止めたのは、無知故の懸念という訳だ。設定はまたどこかで拾えたら、なんならリメイクに出来たら良いなと思ってはいるが、正直今の私がこのテーマを上手く扱えるかは分からない。
とまあ、このような有象無象の毎日を経て、私は迫る高校受験に向けてしばらく活動を止める。
次回からは、高校生になった私が出てくるんじゃないだろうか。
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