受験期間、私はあまりにも勉強をさたくなさすぎて、現実逃避に耽る毎日を過ごしていた。

 

 当時の九月辺りだったろうか。⑤と⑥で書いた女児向けアイドルアニメが、某動画配信サイトで毎週一話ずつ再放送する事になった。当時横目に見ていた故、内容の細部までは当然覚えていなかった私にとっては最高のコンテンツである。受験期のストレス発散にも丁度いいと、それは毎週の楽しみと化した。

 さて、そんな作品に影響を受けた私は、当然模倣を文章として綴ったわけだ。中学三年、絶望的な活動制限の中で生まれたのが『ふぉーえばーステップ!』というタイトルのアイドル小説だった。

 

 端的なあらすじを。

 主人公の七海蕣なつみあさがおは、事あるごとに「あなたの好きなように」を繰り返す、いわゆるYESマンである。その日も教師に頼まれ、放課後に資料の運搬を行なっていた。

 しかしその最中、人気のない特別棟にて性行為に勤しむ生徒の声を聞く。焦った蕣はどうしようかと慌てふためいている間に足を絡ませ、その場に倒れ込み失神してしまう。

 目が覚めると、見知った教室でひとり踊る生徒の姿。同学年でアイドル活動を行なっている時雨宮古ときさめみやこだった。そしてなんやかんや、彼女らの友情的なものが芽生え、蕣はその道を志すように……

 

 うん。終始やかましい。色々と。

 

 女児向けアイドルアニメに影響されて書いたとは思えない出だしである。ちなみに二話ではセックスしてた女に濡れ衣着せられて蕣が生徒指導室送りになる。

 

 当然の如く「ふぉーえばーステップ!」は無事打ち切りという形を取らせて頂いた。その要因は何となく、二つあると思う。

 ひとつ。シンプルに受験期間故に書けないという事。キャラクターデザインやラクガキが楽しすぎて、本編に全く手をつけなかった事が一番大きな要因だと思われる。

 ふたつ。なんか途中で思ってたんと違う感が出てきた事。プロットを作れば作るほど、キャラクターを虐めればいいと思っている自分の存在が浮き彫りになるのだ。

 前述の女児向けアイドルアニメに影響されて、主人公が世代交代する展開を考えていた。しかしそのプロットには、蕣が神社の階段から転げ落ちて下半身付随になる構想が書き殴られている。こんなもの書いてたまるか。

 

 結果として「ふぉーえばーステップ!」に登場したキャラクターたちは、私の『キャラ遊び』でしかなかったというわけだ。

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