中学二年。

 『歪ミノ咎学園』『君は僕を認めてくれない』を書き続けたことによって、この年に新たな物語に手をつけることはなかった。今思い返すと、成績がやばいことになったり部活に没頭したりと、別の理由があったような気がしないでもないのだが。

 記憶の片鱗から読み取る。恐らく『歪ミノ咎学園』は、平林の目的が明らかになっていた頃だ。夏休みにいつものメンツで海に行き、夕暮れに西船橋が平林と話していたあの回辺りだった筈である。

 何の展開も決めずに書き始めた『歪ミノ咎学園』も、流石に狂気だけを表現し続けるのは難しいと判断したのか。或いは、コレを書くきっかけとなった某ウェブ連載漫画が本筋に踏み切り始めたことからの影響か。

 なんにせよ、この一節がしっかりと表現されていなければ『歪ミノ咎学園』は、週刊誌の打ち切り漫画の如く伏線を撒き散らかして死んでいたのではないだろうか。

 『歪ミノ咎学園』第49話「サクリファイス」

 ここでしっかりと道を示したおかげで、元々居た名護や井ノ尾などのサブキャラクターたちもしっかりと出番を作ることが出来た。

 そして『歪ミノ咎学園』は、あのような結末になった。しかし私は当然、あんな風に最初から伏線を張っていたわけではない。全てが偶然にもしっかりと形を成し、ツギハギを完成させた結果、何の矛盾も孕まなかった(自己解釈)のだ。

 

 完結編後編にて。混沌改め伊丹凛が語った「一学級全生徒行方不明事件」と、平林が語った「幽美ヶ丘大量虐殺事件」というものがあった。

 実はこの二つ、私が過去に書いている最中に世に出るまでもなく抹殺された一部から流用されたものだった。

 このエッセイ(?)④にて書いた、某ネジに影響されて書いた黒歴史と言って差し支えないあの二作のことである。

 

 

 話を戻す。

 私が中学二年の間は、あまりにも学校生活に夢中になりすぎていた。中、高と上がってきた六年間で、中学二年が一番楽しかった記憶がある。四、五年も前のことだが、鮮明に幾つかを覚えているほどまでに。

 しかしそれ故に、創作意欲を刺激されるような事は正直そんなに起きなかった。毎日がテンプレの日常だが、それが楽しかったのだから仕方ない。

 

 

 中学二年の冬。年が明けて、学年末試験が終わった。次は最高学年か、受験ってどんなだろうなダルそうだな。そんな事を思いながら、淡々と日常を浪費していた。

 

 ある日。部活を終えてから帰宅したので、十九時辺りだったと思う。

 テレビの中にて、当時の総理大臣が学校の登校停止を淡々と語っていた。

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