⑤
中学一年後半。
前述の抗争が未だ続く中、ダラダラと『歪ミノ咎学園』を書き続けていた頃。正直この頃の私は、所属していた部活動が楽しすぎて、全く新作を書こうという意思を持ち合わせていなかった。
しかし、惰性で先の展開も決めずに書き続けていた『歪ミノ咎学園』が何故か、ラブコメくさい展開を始めたのだ。私はいつの間にか、西船橋を取り合う綱手と混沌の葛藤が入り混じる日常の一コマ一コマを、異常に浸していた。名護と弥生の関係も深くなったり、そろそろ完結しそうだなといったところである。
上達のためには、色んなジャンルを書いてみよう。ふと思い浮かんだ事柄である。
こうして、当時引くほどハマっていた百合作品を書きたくなったというわけだ。生まれたのは、果たしてそう呼んでいいのか分からないようなものだったのだが。
これが『君は僕を認めてくれない』誕生のキッカケだった。
少し本題からはズレてしまうのだが、この作品ができるまでにあった苦悩についても語らせてほしい。
私は小学生の頃から典型的なクソガキとして生活していたのだが、少し他と違った点を持ち合わせていた。
異性の友人が、異様なまでに多かったのだ。男友達も居たのだが、どうしてか、女友達がとても多かった。それ故に、時々話が合わずハブられているような感覚を味わった事をしっかりと覚えている。
2013年辺りといえば、女児向け作品が熱狂的なまでに販売競争を繰り広げ始めた時代である。ゲームセンターに長蛇の列を作り、三枚あるいは四枚のカードで衣装を変えて歌って踊るアイドルたちが、小学生女子を夢中にさせていた。
秋頃に毎朝行われていた持久走の練習では、女子生徒は口を揃えてタイトルコールをしながら走っていた。独特な口調のキャラクターを真似して会話をしたりしなくなくもなくもなくってよ、といった具合で、それは社会現象と呼んで差し支えのないものだった。
幸いな事に、私には妹が居たので、毎週そのアニメを横目ながらに追うことができた。少年が電気ネズミと旅をするアニメが始まるまでの暇つぶしと称して、その画面を見つめていたのだ。
しかし、当時は今のような多様性だなんだという風潮は無く、仮にその作品に対する見識を持っていようと、口にする事は難しかった。未だカッコつけたい小学生男子には、恥ずかしさが勝っていたのだ。
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