第3話絞め上げる
夜勤の仕事がない日。普段、担当する貨物船が来ない日は、我々の課は休みになる。土日が休みの会社では無いので、平日が主に休みだ。
明日の船舶課が担当する貨物船が入港しないので、休みだと思っていた。
すると、ホワイトボードの名前の横に、「応援」と書いてあった。
名古屋港で仕事が無いのに、応援で東海市に行かねばならなかった。
オレは小林課長に食って掛かった。
「おいっ、小林課長、いい加減にしろよ!みんな明日は休みなのに、オレだけ仕事って何考えてんだ!」
小林はため息を付いて、
「藤岡君。東海出張所のご指名なの。君、仕事が出来るから。明後日休みにしてあげるから、怒らないで。それと、明日も奢ってあげるから」
オレは、『奢ってあげるから』に、期待して、
「わかったよ。行きますよ」
オレは高速に乗り、社用車で東海出張所まで出向いた。
そこの社員は喜んだ。
柴田と言う30代半ばの小汚い男と一緒に作業を開始した。
この男の事をオレは好きにはなれなかった。自分のミスを責任転嫁する男で有名だったからだ。
その日も。
事務所に戻り、書類をまとめると、所長が書類に不備があると言い出した。
文字を見ると、オレの文字ではない。柴田の文字だ。
しかし、柴田は、
「しっかりしてくれよ!藤岡〜」
オレは無言で、柴田の胸ぐらを掴みデスクに乗り上げる形で抑えつけた。
「オレは、こんなきたえねぇ字は書かんぞ!馬鹿!」
「い、痛い痛い。すいません、すいません」
オレは、ふと我に戻り柴田を解放してやった。
柴田は衣服を整えた。
オレはそのまま、東海出張所を後にした。
名古屋支店に戻ると、小林が心配していた。
「大丈夫?ケンカしたみたいだけど」
「もう、17時。飲ませてよ!」
長い夜が始まった。
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